「よ、苗字」
「……P4主人公」


今は、恐らく寝込みを襲おうと企んで実行に移している時間だと思った。
だから、ここにP4主人公がいるのは正直不思議に思った。

「どうしたの?」
「ちょっと苗字と話したくて」
「……ロビー行こうか」




心臓がやたら忙しかった。
もちろんそれは悪い意味で。
P4主人公は無表情で何考えているか分からなかったし、何話されるか心当たりがあるものはたくさんあった。それも悪い意味で。
もしかして今日のミス?コンの写真たくさん撮ったのがバレたんだろうか。
それともアイテムをいくつか盗んだのがバレたとか…。
もしくは、私が足立さんを落としたんだと分かったんじゃないだろうか。

ええい心臓よ、やかましいんだ。
これから行くところはロビーだぞ?サイアク、そこのテレビから逃げれば良いじゃないか。
ほら足立さんが山野アナを落としたときのように。
大丈夫。武器は持ってる。中に入ったとしても生き延びれる。それくらいの実力はあるさ。



「どうしたの?」
「苗字さ……」


どくんどくん
ああもう今からテレビに逃げだしたい。
まっすぐに見てくるP4主人公の目が怖い。
目を逸らしたら負けな気がする。私はP4主人公を睨み返した。








「これ、二回目だろう」











ああやっぱり。
予想した通りP4主人公もこの体験は二回目だった。
逃げる必要はなさそうだ。ソファーに深く座る。

「どういうこと?」
「この時期に、この事件を体験するのが二回目なんじゃないかって聞いてるんだけど」
「……」
「俺が、そうなんだ」

私が納得できるように話してくれるP4主人公。でも私は既に理解しているし、自覚もしている。



「……そうだよ。私も、そう」

私の答えを聞いて、P4主人公は息を吐いた。緊張していたらしい。
その姿を見て少し、良心が痛んだ。

「そうか…良かった」
「良かった?」
「今回、前と違うことになっているだろ?一人で混乱してたんだ」
「……そっか」



ごめんね、P4主人公。
それは全部、私がやったことなの。
私が結果を変えるために足立さんを落としたの。
でもそんなのP4主人公にはまだ分からないし、言うつもりも無い。
そうだね、と相槌を打ってこの場をやり過ごすことにした。
あのP4主人公だ。今はやり過ごせても違和感を感じていて、ずっとは無理かもしれない。
とにかく今は、この場をやり過ごすことだけを考えよう。


「……悲鳴が聞こえたな」
「ああ、部屋やっぱり間違えちゃったね」
「じゃあ俺行くから」
「うん。おやすみ」




ああ、どうしようか。
今更後悔している自分がいた。




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