学校サボった。親に怒られる、なんて思いながら汗を拭く。 今日は天気が良いな。まさに、野球日和。 俺は今、球場に来ていた。 「(なんでここにいんだろ…)」 正直、なんで学校サボってまで球場に来たかはわからなかった。確かに今日は俺が通う高校である崎玉の試合が行われている、が友達がいるわけでもないし、そんな勉強が嫌だったわけでもなかった。 ただ足が向かっていたのだ。 「今日負けたら終わりなのはあんた一人なんだぞ!!」 そんな怒鳴り声がマウンドから聞こえた。欠伸してた俺はハッとしてそっちを見た。あれいつの間にあんな集まってたんだ。 どうやら怒鳴ったのは市原らしい。そういえば聞き覚えのある声だった。 市原って、あんな感情出すヤツだったのか。ほー…。 「…泣いた?」 ぐいっと市原が帽子の下を拭った。よく見えないけど多分あれ泣いてんだ。 え、市原って泣くの? 気づいたら頭の中は市原のことでいっぱいになっていた。 試合がどうなるかなんて、もうどうでもよくなった。 涙が見たい 案の定、親には怒られた。携帯にはメールが溜まっていた。 でもそんなのどうでもよくて、ただ市原が泣いたことばかり考えていた。 2010.07.06 |