「あ!」 少し遠くに、俺たちと同じビラを持ってるヤツを見つけた。 ビラというのは、野球部の練習場所が書いてあるもの。 それを持ってるということは、野球部に入るということ。 俺はソイツを捕まえて、第2グランドまで一緒に行こうとダッシュした。 後ろの方で双子の妹の声がする。 アイツ方向オンチだけど大丈夫だろ。グランドは目の前だ。 「おーい!」 少しくせっ毛のヤツは俺の呼ぶ声に肩を揺らした。 でも自分じゃないと思ってるらしい、振り向かずに少しずつ足を動かしている。 「お前だって!んと……野球部のビラ持ってるヤツ!」 そう言うと、さっきよりも大きく肩を揺らした。 多分、ビビってんじゃねぇかなぁ。 それでも振り向かないアイツに苛立ちを覚えた。 「今ビビったヤツだよ!」 「ふぃっ!!」 半分怒鳴ったように呼ぶと、流石に分かったのか振り向いた。 怖かったのかもしんないけど、とりあえずスルーだ。 「野球部!?」 「…え…あ……」 「俺も何だ、行くぞ!」 いつもの俺なら、もう少し優しく言うことも出来たのだろうけど、強引に引っ張ってきてしまった。 そして、そのまま第2グランドまでやってきた。 |