ついに来た、三星との練習試合。
試合は引退してから以来……って皆そうか。
俺たちは今日の試合、3回まで出させてもらえることになっている。
投球練習を終えて、双子の妹は篠岡の手伝いに行った。
俺どうすっかなー……キャッチボール入ってこよう。




「双子の兄」



名前を呼ばれて振り返ると、阿部が立っていた。
あれ?三橋と投球練習してなかったっけ。



「どっか走って行っちまったんだよ」
「……逃げた?」
「だろうな。三星の選手来てからだったし」


ったく……。
そう阿部はため息をついた。
ちゃんと戻ってくんのかなぁ、って言ったら迎えに行くと答えが返ってきた。




「お前らってさ、打たせて捕るタイプ?」
「昔は違ったけどな。今は多分そうだ」
「多分?」
「双子の妹が決めんだよ、そういうの」



分析とかが得意というか好きな双子の妹が主な作戦を立てて、それに俺が口を出していくって感じ。
捕手として俺は、捕るだけ。

「ふーん」
「この試合は三橋のためだしさ、俺たちはでしゃばらないことにするよ」
「……点数やんなよ?」

「任せろ」









「それにしても……」

小さくそう呟いた声が聞こえた。阿部を見ると、阿部は俺をまじまじと見ていた。



「防具似合わないな」
「余計なお世話だ」







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