合宿所に着いたらすぐに掃除をやらされ、掃除が終わったと思ったら次は山菜取り。 でも私達と阿部と三橋は監督に連れられてグランドにやってきた。 どうやら先に練習を始めるらしい、私と三橋は肩をあたためるよう言われた。 その間、監督は阿部と双子の兄と何か話していたけど、何を話していたかは分からなかった。 「三橋はさー」 「な、なに?」 「ピッチャー好きー?」 ただキャッチボールしてるのも暇だから、三橋に話しかけてみた。同じクラスだし、仲良くしたい! でも三橋から答えは返ってこない。 三橋は視線を少し下げた。 「私は好きだよー」 これにも答えは返ってこない。 できれば言葉のキャッチボールもしたいんだけどなぁ…。 ボールがグローブに吸い込まれるように入る。そのたびに私の好きな音がした。 「んでさー、私高いとこ好きなんだよねー」 バシッ 三橋のグローブにボールが入ると、三橋は私の言ってる意味が分からないらしく投げる手を止めた。 「三橋も、好きでしょ?」 「だってマウンドは1番高いとこだよ」 「……う「そろそろいーいー?」 もう少しで三橋から答えがもらえるところで、監督が私達に聞いた。 いや、監督に文句なんて言いませんけどね?せめてあと少しだけ…。 「じゃあまずは双子の妹ちゃんから投球見せてもらおうかな。良い感じだったら打撃投手と……練習試合にも出そうと思ってるからね!」 「ほ、本当スか!?」 「うん!」 「やったあ!頑張ります!ほら双子の兄、早く座って」 「へいへい…」 高校入ったら、もう試合には出れないと思ってたのに…。 監督、ありがとうございます! 「んで、今日の気分は?」 双子の兄が座って、ミットを構える前に私に聞く。 それに私は少し考えてから答えた。 「直球!」 それを聞いて双子の兄がミットを構えると、私は大きく振りかぶった。 |