「……三橋が戻ってこねぇ」
「…迎えに行けば?」


不機嫌そうに阿部が言ったのにそう返せば舌打ちされた。
さっき自分で迎えに行くって言ったじゃん!
仕方ねぇ、なんて言いながら三橋が走ってった方へ阿部は歩いていった。

そう言えば双子の妹のヤツ、水汲みにしては時間かかってんな。
探しに行くか。



「泉ー」
「ん?」
「水道どこにあるか知ってる?」
「確か向こうだった。何、双子の妹?」
「……まあな」

曖昧に三橋が走っていった方を指さす。いなかったら戻ってくればいいしな。
分かった、サンキューって言おうとしたら泉は双子の妹を迎えに行くのか、と聞いてきた。
間違いではない、俺は肯定する。

「俺も行く」
「は?俺一人でいいし」

いったい何で。
……気まぐれだろうな。仕方ねぇ、一緒に行くか。








「な、あれ双子の妹……?」

泉が指さす先には、小さくなってしゃがみ込んでいる双子の妹の姿。
急いで駆け寄る。ああもう防具の音うるせぇ!!

「え、双子の兄…「先戻ってろ!」…わかったよ」

泉に半ば怒鳴りつけて、俺は双子の妹の前にしゃがみ込んだ。



「どうしよ…私も……私も誰かからマウンド奪ってたんだ。女の私が……」


震えた声がそう言う。
確かにそうだった。陰で双子の妹を悪く言ってるヤツがいることを俺は知っていた。
でもそれを知って欲しくなかった。ずっと笑ってて欲しかったから。

「大丈夫。双子の妹の力は皆認めてたから。大丈夫だから」

気休めにしかならないことを言って、双子の妹の手を握る。
落ち着くまで、ずっと…――








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