明日の打順は悠一郎が4番で俺が3番。 1番最初に選ぶということで皆からの視線(プレッシャー)で悩んだのだが、3番を選ばせてもらった。 それを告げると皆からのブーイング。 その場は笑って乗り越えたが、やっぱ駄目だった。納得してないヤツがいた。 「何で、3番なんだよ」 花井だった。 洗面所で興奮してほてった顔を冷ますために顔を洗ってたところに花井は聞いてきた。 花井のタイムは3番目で、打順は5番だ。 水の流れる音を聞きながら、俺は花井を見た。 「……俺は、プレッシャーに弱いんだよ」 「…だから?」 「4番になって、皆の期待なんて背負いたくない」 電球切れかけてんのかな。花井の表情全然見えない。 花井は中学で4番任されてたんだもんな。プライドあんだろうな。 「んで、4番が打てなかった球を打たなきゃなんない5番のプレッシャーも遠慮したい」 「…荒・シーじゃ、何番だったんだ?」 「5番だよ」 でもそれは悠一郎を信頼してだった。 悠一郎なら打てるって信じてたから5番にいれた。 「…だから、3番?」 「悠一郎の打順のときには必ず塁にいられるようにな」 「……自信過剰」 「うるせーよ。タオル貸せ」 背高いんだ、花井は。 何とか頭に巻いてたタオルをぶん取って、濡れた顔を拭いた。 「てめぇ!」 「どうせ寝るんだからもう使わないだろ」 何なら俺洗うし。 そう言ったら、そこまで責めてねぇよって言われた。 花井って良いヤツだよな。 「……これから俺たち、迷惑かけると思うから」 「たち…?」 「よろしくな」 不完全な俺たちを。 2009.01.13 |