どうにか落ち着いた私は、グランドに戻った。(双子の兄はジャグを持ってくれなかった)

少し遅れてから阿部と三橋も戻ってくる。三橋の表情が少し変わっていた。
あそこに、阿部が助けに入ってくれたのかな。



そして試合が始まった。
今日、双子の兄の調子があまり良くないみたいで最初の打席は空振って終わってしまった。
私は…よくわかんない。
マウンドに登ったらもう投げることだけに集中できるんだけど、ベンチに戻ったらまた考えちゃって……。

それでも3回まで無失点に抑えた。



「ナイピ!」
「あー、終わった!」
「試合はまだ始まったばっかだろ」
「ちゃんと応援してるから頑張れー」


悠一郎と栄口に挟まれながら私はベンチまで駆け足で戻る。
ベンチに入って用意されてる飲み物を飲んで、ため息。
私の出番、これで終わりか。3回ってあっという間なんだな。

「お疲れ」
「孝介か、どーも……」
「双子の妹!?」




一瞬、意識が飛んだ。
気づいたら私は孝介に支えられていて、コップは落としてしまっていた。
皆こっち見てるし。三橋なんて顔青いよ?




長椅子に寝かされ、西広が濡らしたタオルをおでこに乗せてくれた。
4回の攻撃が始まった。

「貧血か?」

心配した顔で双子の兄が私の顔を覗き込む。
私は頷いて手招きする。そして耳打ち。
生理だからだって。
双子の兄はため息をついて監督のとこへ行った。

女だって実感させるコレが嫌い。








二言三言会話を交わしてきた双子の兄が戻ってきた。そしてにっと笑う。







「帰ったらレバーな」
「レバー嫌い」


つまり、鉄分を摂れってことらしい。



to be continued
2009.01.14





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