銭湯から出ると、男共はまだあがってないようだ。
監督と千代ちゃんは先に戻ると言ったけど、私は皆と戻ろうとここで待つことにした。



『……遅い!』



こういうのって普通、女が男を待たせるものじゃないんですか?
中からはまだ笑い声が聞こえてくるし、出てくる気配は無さそうだ。
言っておくけど、私は決して気が長い方では無い。

こういうときに、双子というものは有効活用すべきなんだろうね。






『早くしやがれ野郎共!』





どーん


皆さん、ようやくお着替えですか。
待ちきれなくなった私は、男湯にやってきた。


『お…おい双子の妹!ここ男湯!』


『しかも着替え終わってない!』





そして冒頭に戻る。

慌てて服を着ているのがいたり、既に着替え終わっていて、皆が終わるのを待っていたのもいたり……。


「おい双子の兄、お前どんな教育してきたんだ」

「何で俺が教育したことになってんだよ」



阿部と双子の兄が私を見てため息をついた。
私は悪くない、あんたらが遅いのが悪いんだ。



「ほら、三橋行こ?」


「う、うお」




ようやく着替え終わった三橋の手を引いて、私は脱衣所を先に出た。
あとから双子の兄が追いかけてくる。花井の怒鳴り声も聞こえた。


私も女の子だから気になる人とか、好きな人の一人二人はいる。
でも今はそれよりも、このメンバーで野球をやっていきたい。
私は、野球がやりたい!




「三橋ー!」





三橋の右手を握る力を更に強くする。
風呂上がりだからか、あったかい手だった。
タコがある。三橋の長い間の努力をこの手が証明してくれている。





「野球、やろーねー!」




「う、うん!」





返ってきた良い返事に、嬉しくなった。
そのあとすぐに双子の兄に追い付かれ、阿呆、と叩かれた。


あ、冒頭で見慣れてるとか言ってるけど、そんなわけないからね?


to be continued…
2008.10.29
2008.11.23 改編





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