「一時はどうなるかと思ったけどね」 「迷惑かけたな」 「まったく」 仲直りしたことを1番迷惑かけた孫兵に報告すれば、孫兵は冒頭のように答えジュンコに笑顔を向ける。 作兵衛は今日も元気に委員会に行った。俺は今日も当番無し。 「不思議なことにさ」 「ん?」 「まだ左門も三之助も迷子になってないんだよ」 「そういえばそうだな」 以前は毎日のように迷子になっていたのに。俺が作兵衛係になってから、確かに騒ぐことは無かった。委員会で三之助がいなくなるくらい。それは滝夜叉丸がなんとかするので数には入れない。 「不思議だなー」 「二人は二人なりに頑張ってるんだよ」 そう言って、ふと遠い目をする孫兵。何となく、いけいけどんどんと聞こえる気がする。 お茶を啜って一息、平和だなあ。 「作兵衛に依存して、好きに動いてたんだからね」 「依存?」 「作兵衛もね。何となく、そろそろボロが出るよ」 それどういう意味、と聞こうとしたら、生物委員会集合ー!!と竹谷先輩の声が聞こえる。何かが脱走したのだろう。 「行かなきゃ」 「手伝おうか」 「大丈夫。それより、作兵衛を」 「…そんなに俺、頼りない?」 「ううん。でもそれ以上に作兵衛は難しいから」 じゃあね、と孫兵は行ってしまった。 作兵衛は難しいとは、どういう意味なのだろう。 しばらくぼけーっとして、部屋に戻ろうかと思って急須と湯呑みを食堂に返しに行った。 「お」 「ん、名前」 食堂には用具委員会がいた。みんなで休憩中らしい。急須と湯呑みを返して、作兵衛に話しかけようと近づく。 「お疲れ」 「ああ」 「みんなで休憩?」 「そうでーす!」 答えたのは作兵衛ではなく一年生たち。その横で食満先輩が楽しそうに笑っている。作兵衛は無愛想ではあるが満更でもないような顔をしている。 「名前も誰かとお茶飲んでたのか?」 「うん、孫兵と」 「…そっか」 「?、んじゃ俺戻るな」 「おう、あとでな」 作兵衛は難しいとはどういうことなのか、ボロが出るとは何なのか。 俺が見る限り、普通にうまくいっている気がする。 孫兵の考えすぎであってもらいたい。 2010.04.27 四日目 |