「俺って駄目人間なんだなー…」


いきなり人の部屋に来てそんなことを言い出した駄目人間は先日、作兵衛係に任命されたヤツだ。
何こいつ、湿った空気出さないでよ。

「ねえ孫兵、聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」
「聞いてねえだろ」

さっきから自分のことを"駄目人間"としか言ってないのだ、半分くらい聞き流したって構わないだろう。
聞いてほしいならもっと内容のある話をしてもらいたい。


「何があったの。作兵衛は?」
「作兵衛は委員会…」


わかりやすく、しゅんとした名前はぽつぽつと話し出した。僕はジュンコの腹を撫でながら聞いてやった。

「つまり?」
「余計なお世話だったのかな…」
「あーもうほら、元気出せ」


ぽんぽんと背中を撫でてやるとしゃくり上げた声が聞こえる。名前は名前なりに悩んでいるのだ。恐らくこうやって誰かに付きっきりになることが無かったのだろう。元はあの3人を傍観する立場にいた人間だ。
そして作兵衛も混乱してるのだ。彼は世話をする立場にいたから甘え方を知らない。
きっと作兵衛も苦い思いをしていることだろう。


「ちゃんと話してこい」
「…無理」
「無理じゃない」
「…っ、無理だって」
「行け」

「だって、余計なお世話だったんだから…、これ以上関わらない方が良い…」
「違う。距離を計れてないだけだ」


ジュンコが、きみこが名前を心配している。名前が泣いているのを見たことがないからだろう。



「ほらジュンコもきみこも泣いている。行ってこい」

「もっちょい、慰めてくんないの」
「慰めない」



鼻紙を持たせて部屋から追い出した。そろそろ委員会も終わる頃だろう。
三日目
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