「――…っ、今…!」

「おはよう、作兵衛」



結局、作兵衛は昼過ぎまで寝ていた。その間暇だった俺はどうしようもなかった。
飛び起きた作兵衛は俺を見てしばらく制止。きっと状況を理解するのに必死なのだろう。倒れるように寝たから途中で途切れていることだろう。


「はよ、名前…?」
「もう昼過ぎた。飯食いっぱぐれたな」
「…ごめん」
「大丈夫だよ。おばちゃんに言えば何か作ってくれるって。行くぞ」


しゅんとなった作兵衛の手を引っぱって無理矢理立たせて食堂へと連行。作兵衛、朝飯から食ってないから腹減ってんだろ。




「おお、作兵衛に苗字」
「食満先輩」


おばちゃんにあまりもので飯作ってもらって、二人でそれを食べていたら食満先輩が来た。
食満先輩は俺たちの正面に座った。

「食満先輩、どうしたんですか?」
「ああ、今日委員会やるからそれを伝えに来たんだ」

委員会だと。
今日は休みなのにわざわざどうして…と言いたかったけど、用具委員会は修理ばっかりしてるから仕方ないことに気づいた。

「食満先輩、すみませんが作兵衛は…」
「わかりました。飯食ったら行きます」
「おう。ゆっくりでいいからな」


失礼したな、と食満先輩は席を立って食堂を出ていった。ゆっくりでいいと言われたのに作兵衛は急いで飯を掻っ込んでる。

「っ作!」
「な、んだよ」
「おめえ、せっかく俺が委員会休ませようとしたのに…!」
「大丈夫だよ」
「じゃねえから言ってんじゃねえか!」


怒鳴ってから後悔する。作兵衛は俺を見て顔を歪ませた。食堂に人がいなくて本当に良かったと思う。

「…ごめん」
「名前…」
「怒鳴った」
「…俺もごめん。名前は俺のこと考えてくれてたのに。でも…」
「でも?」


「ここで行かなかったら食満先輩に何されるかわからないんだ…!」


妄想癖。
食満先輩が一日休んだくらいで手裏剣投げてくるわけないじゃないか。ちゃんと訳を話せば分かってくれるって。


「……俺も行く。いいだろ?」





2010.03.31
二日目
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