いつもより布団があったかい気がする。いやそんなわけはないか、と更に布団の中に潜り込もうとした、が何かがある。何かが俺の邪魔をしている。


「……は?」


えっと、落ち着け俺。まずは状況整理だ。
@布団の中に髪の長い人間が俺の服を掴んで寝ている。
Aその人間は睫毛が長い。
Bしかし男である。
…ああ思い出した。そういえば昨日トリップしてきたとかいう人間を匿うことになったんだ。


「えっと、名前…兵助?」
「はい」
「うわっ、起きてたのか」
「浅く寝てたので」

兵助は起き上がって、のびをした。浅く寝てたってどれだけ警戒していたのだろうか。そんな寝込みを襲われることはないんだけど。
とりあえず、兵助が起きてくれたので俺も起きることができた。顔洗って、飯作る。


「あ、着替えどうしようか」
「俺はこのままでも構いませんが」
「俺の服じゃでかいかな、ちょっと待ってろ」
「別にこれでも…あの」


なんと新品の下着を発見した。偉い俺。それと適当な服を見繕って兵助に渡してやった。
着方がわからないのかしばらく四苦八苦していたが、なんとか着れていた。ジーパンじゃなくてジャージにしたのは正解だった。


「ん、ちょっとでかいか」
「ですね」
「よし、買い物行こう」

「え?」
「思い立ったが吉日。飯食おう」
「ど、どうしてそこまで」
「ここにいる間不便があったら嫌だろう」


そら飯を食え。
俺は朝飯ご飯派だから問題無く食えるだろう。
兵助はしばらく黙ったあと、ありがとうございます、と言って席についた。



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