「…布団、どうしよっか」


兵助がまた豆腐食いたいって言ったから麻婆豆腐作って食った。
そして兵助がいた室町の話を聞いて、俺もちょっとだけ平成の話をして気づいたらもう寝る時間だった。
そこで冒頭に戻る。服買って生活用品買って、布団のことを忘れてたのだ。

「俺、床に寝ます」
「いや兵助は布団使え」
「そんなわけには」


兵助はそう言うが客を、それも年下を床に寝させるなんて俺の何かが許さない。
明日、誰か布団余ってないか聞いてみよう。


「名前さん」
「ん?」
「……なんでもないです」

おやすみなさい、と言って兵助は布団へ潜り込んだ。何か言いたいことでもあったのだろうか。深く詮索したってウザいだけだから向こうから言ってくれるのを待つことにして、俺も毛布をかぶった。



「兵助」
「はい」
「俺、明日大学行くから留守番な」
「だいがく…」
「学校。一人にさせるけど大丈夫だよな」
「……はい」


もそもそと布の擦れる音がする。電気を消しているから見えないけど、兵助が深く布団に潜ったんだろう。寝るか、と目を閉じた。誰なら布団余ってそうかな、なんて考えながら。






「……ん」


携帯のアラームが鳴った。もう朝か、と目をこすった。さすがに床で寝ると体が痛い。


「…兵助」
「おはようございます」
「おはよう、じゃない。なんでここで寝てるんだ」
「…なんとなく」

昨日と同様、兵助が隣で寝ていた。昨日と違うのは布団じゃないこと。敷かれた布団が意味を成していない。
はあ、とため息。しかし兵助は特に気にした様子も無く俺を見つめる。




「名前さんがあったかかったのでよく眠れました」

「…そりゃ良かった」


兵助が何を考えてこの行動をとったのか、俺はちょっとわからなかった。
残念ながらゆっくり考えてる暇も無いのだ。



見つめる男



できれば考えてることは口に出してもらえるとありがたい。


2010.04.11
ネタ提供いただきました!
添い寝…私は添い寝の意味をちゃんと知るべきですね。
久々知は言うより行動するイメージがあります。それと無意識な行動。

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