私には、圭助という友達がいます。
この忍術学園に入ったときに出会い、同室で過ごしてきました。もう6年目になります。
言葉を交わさなくてもお互い何を考えてるかは、何となくならわかる程度の仲でした。


「なあ名前、アレは誰だ?」


あまり他人に興味の無い圭助がどこかを指さして私に聞きました。そちらを見るとそこには、ろ組の中在家長次がいました。

「ろ組の中在家長次だよ。図書委員長の」
「へえ、そうなのか」


へえ、ともう一度言って圭助は向くべき方向(正面)を向いて歩き出しました。それを俺は後ろから追いました。

このことを後悔すると俺は知りませんでした。だから今、とても後悔しているのです。
どうしてこのとき、私は圭助に中在家長次の名前を教えてしまったんでしょう。





「名前、俺長次と付き合うことになった」


少し照れながら圭助が言った言葉が私の頭を殴る。鈍器で殴られた気分。
そうか、としか私は返すことができなくて圭助が部屋を出て行くのをただ見送っていた。
は、ちょっと待って。今、何て言った?

部屋に残された私は動かない頭を必死に動かそうとする。頭が痛くなってきた。
「名前のおかげだよ」圭助が言っている気がする。
何が私のおかげ?
ああ、
私が中在家長次の名前を教えたんだっけ。













2010.02.20
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