「ま、待って作兵衛、俺を見捨てないで」
「うるせえ、男なら当たって砕けろ」
「砕けたくない!お願い待って!」


俺の必死虚しく、作兵衛は出て行ってしまった。残されたのは気まずい空気を抱えた俺と藤内だった。

ど、どうすれば良いんだ。
恐らくさっきの、藤内可愛い宣言は聞かれたのだろう。だから藤内はここに何も言わずにいる。

さっき作兵衛が言った当たって砕けろっていうのは、やっぱり告白しろってことなのだろうか。
無理でしょう!このタイミングでは!




「……と、藤内…?」
「なに」
「作兵衛に用だった…のか?」

やべえ怖い!
目合わせてくんないし、オーラがもう痛い。尖んがってる。
当たる前に砕けそうです。

「いや、名前に用だった」
「俺?」
「今度の休み空いてるなら、うどんでも食べに行こうと誘いに来たんだけど」
「まじで?」
「ちょっと考える」
「うわあ待って待って!」


そんな嬉しいお誘い!俺が断るわけ無かろうが!
けれど俺、自分の首締めちゃったよ。だって藤内が考えるって言ったのは俺の発言が原因だろう?
くそ、油断した。作兵衛しかいないもんだと思って…。
こうなったら当たって砕けてやる。



「藤内」

「なに」


「俺、藤内のこと好きです」





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