夢のなか




きっとこれは夢の出来事なのでしょう。
だってこんなにしあわせで良いはずがありません。
憧れの、同じ委員会の先輩と恋仲になれて
今、こうして彼の部屋で愛を紡んでいます。
彼の優しい目は私の目を見ます。
彼の少し冷たい手は私の頬に触れます。
彼の甘い唇は私の唇に触れます。
一生懸命私も答えます。







「さく、」


突然現れたあの女、ええと…凜さん。
凜さんを見るたびに、名前先輩は眉間にシワを寄せる。
ほんの少し視界に入ったなら、さりげない動きで視界から外す。
名前先輩をずっと見ている俺だから分かった。名前先輩は、凜さんが嫌いなんだ、と。
それが分かって俺は嬉しかった。
何故か学園中の皆が凜さんの虜になっていたから、名前先輩ももしかしたら、と思っていたから。



「好きだよ」



色っぽい声が耳元でそう言う。
俺は愛してます、と答えると名前先輩は一瞬目を見開いて驚いて
それからすぐに微笑んで、俺も、と答えてくれた。
一本取れた。嬉しい。





「先輩、先輩には俺がいますからね。何もできない俺だけど、先輩のためなら多少無茶したってやり遂げます。だから、だから先輩、何かあったら言ってください。俺が先輩を助けてあげます」




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