わ!わ!わあ!
苗字くんがいる!
委員会してる!

富松くんを連れて色んなものを直してる苗字くんの姿は凄くかっこよく見えた。
声かけたら怒るかなあ、
今は忙しそうだから、少し休憩に入ったら話しかけてみよう。


「甘味ありますけど、食べますか?」
「え?ううん、それは用具委員会のおやつでしょ!私が食べちゃ駄目だよ」
「いやでも、待っている間暇でしょう。俺の食っていいんで…」
「食満くんの!余計駄目だよ!それに、見てるだけで楽しいから大丈夫。気遣ってくれてありがとう!」


食満くんは優しいなあ。
遠慮してるんじゃなくて本音だからね、気にしないでね!
本当に見てるだけで楽しいの。
ずっと見てれば、苗字くんがこっちを見てくれる気がして。
見てくれたらすっごいしあわせ!


「そうですか…。おい名前!」
「……はい」
「これ、作兵衛と直してくれ。夕飯の支度に使いたいらしいから急いでな」
「…食満先輩はやらないんですか?」
「俺は小平太が開けた塀の穴を塞がなきゃなんねえからな」
「……わかりました」


うそ、夢みたい!
私の不注意で壊してしまったお鍋を苗字くんに直してもらえるなんて!
持ち手が取れてしまったお鍋を受け取って、苗字くんは富松くんを呼ぶ。

は、話しかけるなら今じゃない!?



「苗字くん!」
「はい」
「あ、あの…仕事してるの、側で見てても良いかな」
「……どうぞお好きに」



やった!
ひとつ進歩した!
そう、こんな風な恋をしてみたかったの。
向こうで私は何もできなかった。
だから、ここでは頑張るの!






「えへへ、ありがと」


恋するとこんなに充実するんだね。

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