平成から落とされた俺は、気力が無かった。


幼児退行までしちゃって、10歳のからだになってたときは本当に驚いた。
染めていた髪のせいで南蛮人だと罵られて(石投げられた)
食うものも無くて死にそうな状態になってたときに、寺の和尚さんが俺を拾ってくれた。
和尚さんの元でしばらく生活したあと、和尚さんは俺に、忍術学園に入れと言った。そこでたくさんのことを学んでこい、と。

はて、忍術学園。
どこかで聞いたことがあるような。

そうしてやってきた忍術学園を見て、俺はまた驚くのだった。
なんてこった!テレビで見たことあるぞ!
ただのタイムスリップでないことを知って更に絶望したのは言うまでもない。




とりあえずそこで平凡に暮らしていくことにした。
戻りたいとは思うけど、今はこっちに馴染むことの方が優先だと思ったからだ。

そして彼、富松作兵衛に出会った。


最初に思ったのは小動物。
びくびくおどおど、何これめっちゃ可愛い!
なんと嬉しいことに俺が所属する用具委員会に入ると言うじゃないか!
ついに俺にも後輩ができたんだ!


小動物を愛でる愛しさはやがて少し違うものになった。
何て言うか、手放したくない。目を離すのも怖い。
ああ、もしかして好きになってしまったんだろうか。
そうだと思ったら即実行。
今回のことで学んだことは、善は急げ。
したいことしないうちに俺は平成からおさらばしてしまった。
室町ではそんなこと無いようにしなければ。




「作兵衛、好きだ!」




なんとまあ、ロマンもマロンも無い告白だったと思う。
普通に委員会中、俺と作兵衛は2人で作業することが多いので、そのときだった。
片手には金づち持ってるし…格好悪い。
パチパチと瞬きを忙しくして、作兵衛は顔を赤くさせた。


「……本気で言ってますか」
「生憎、本気だ」
「…俺、浮気する人嫌いです」
「絶対しない。作兵衛だけ」


そう言うと、作兵衛はぼたぼたと泣きはじめたではないか。
俺は何かしてしまっただろうか。も、もしかして俺に好かれたこと自体…。


「嬉しい、です」
「へ?」
「俺も、先輩が好きなんです」




なんと!
こんなことって本当にあるんだ!
リア充死ねとか言っててごめんなさい。どうしよう、こういうときはどうすれば良い?


「ほ…本当か?」
「まじですよ!俺は苗字先輩が大好きです!」





しあわせと喜びを表現するため、とりあえず作兵衛を抱きしめてみた。





苗字名前の場合





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