名前が苛々していた。 どうも俺を誘う前にした教室でのアイちゃんとの会話が原因らしい。アイちゃんは何故か名前のことを嫌っている。嫌っているというよりも、綾時に対するソレと似ている。 いらいらいらいら 誰が見てもそれは分かった。 「なあ何があったのか言ってみろって」 「……アイギスって俺のこと嫌いじゃん」 「嫌いってそんな身も蓋も無い」 「何で俺のこと嫌いなのか聞いたらよくわかんないって理不尽なこと言われた」 ふーん、そういうこと。 まあ誰だって理不尽なこと言われたら嫌だわな。 何か言ってやれるほど俺は人生の経験値が無いから、何も言わずに愚痴を聞いてやった。 「あーもう!全部あやが寝坊したのが悪いんだ!」 マイク越しに叫ぶなって!それじゃあお前彼女にフラれたヤツみたいだぞ。 けれどそれでスッキリしたらしい。口を閉じた。 じゃあ質問タイム。みんながずっと思っていたことを聞いちゃうぜ。 「なんでそんなに綾時のこと構ってんの?」 今更なにを聞くんだ、とでも言い足さそうな顔をする名前。いや俺はその理由を知らないんだ。 「…なんか、初めて会ったときにビビッときた」 「はあ?」 「あやと一緒にいなきゃって。今一緒にいなきゃ駄目な気がした」 「なにそれ」 「あやは、いついなくなるかわからない」 それが真剣な目で言うもんだから思わず頷いてしまった。名前はなにを感じたんだろう。俺はそんなもの全く感じられなかった。 つまり、名前にとって綾時は明日いなくなるかもしれないから今のうちに一緒にいなきゃいけない存在。 「恋愛感情なわけじゃないんだなぁ…」 「なんか言った?」 「いいえぇ」 → |