「僕は…君たちが"シャドウ"と呼ぶものとほぼ同じ存在なんだ…」


 SEESのメンバーが駆け付けて、アイギスは完全に機能が停止してしまった。すると対象はアイギスから綾時へと移る。綾時は目を伏せたまま、先程思い出したばかりの真実を語り出す。
 それはシャドウの目的、綾時とアイギスの関係、有里のこと。全員が呆然としていた。それらはずっと探していた答えであり、しかしこんな突然に知らされるものでは無いと思っていたものだった。


「そう、彼だよ…僕はずっと、彼の中に居たんだ…」


 申し訳なさが大半だったが愛しさも含んだ眼差しで綾時は有里を見つめる。そんな綾時の後ろで彼のマフラーを小さく掴んで苗字は立っていた。彼の後ろに立つことで中心から逃れていた。
 綾時が有里の中に居た、という事実を聞いてマフラーを握る力が強くなる。一度綾時は苗字のほうへ振り向き、小さく笑って正面を向いた。


「全て…僕が原因なんだ。ごめんよ…。それに…君たちには…まだ…大事なことを…伝え……」


 言いきることができずに綾時はその場に倒れこんだ。驚きで苗字は掴んでいたマフラーを離してしまった。風花の綾時を呼ぶ悲鳴が聞こえる。


「…あや…?」


 小さく消えそうな声で苗字は綾時を呼ぶ。しかし返事は無い。いつもなら、いつもの彼ならどんなに小さい声でも振り向いて笑ってくれるのに。
 誰よりも速く苗字は綾時に駆け寄った。綾時は動かなかった。


「あや!あや起きて!あや!」
「名前大丈夫だ、体力を消耗してるだけだ」
「あや起きて!嫌だ!」
「名前!」
「嫌だ…おいてかないで…あや…」

 ぎゅっと苗字は綾時の手を握る。それでも動かない
彼に苗字は下唇を噛んだ。





狂える真実




「…今日のところは、引き上げて休ませよう。アイギスの件もある。話の続きはその後だ…」


2010.09.02

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -