「アイギス」
「…すみません」


湊さんが名前さんのことが好きなのは知っていた。綾時くんが来てから名前さんが綾時くんと遊んでばかりだということをよく思っているのも知っていた。
だから綾時くんが休んで名前さんが湊さんを誘ったら、湊さんは喜ぶに決まっているのだ。本来なら止めないべきだって分かってる。その方が湊さんにとって良いに決まっている。
けれど私は止めてしまった。何でだろう、どうしてかわからないけれど名前さんと湊さんを一緒にしてはいけない気がする。


「……名前、怒ってた」
「…そうですか。私が湊さんとの遊びを妨げてしまったから…」
「違う。アイギスが言っていることがよくわからないから」


私が言っていることがよくわからない…?

それは私が理由もなく名前さんの行動を止めたこと?
理由がないから?



「それならっ!それなら名前さんも同じです!彼も理由が分からずに綾時くんといる!
よくわからないけれど綾時くんと離れてはいけない気がすると、彼も曖昧な答えを…」
「アイギスを責めてるわけじゃない」


そう言って湊さんは私の頭を撫でる。ええと、これはどういう行動なんだろう。
廊下の方から名前さんと順平さんの声が聞こえてくる。その方へ湊さんは視線を向けていた。




「…湊さん」
「……ちょっと、残念だった」
「………すみません」






曖昧なナニカ



いったい何なのだろう。この感情は。
どうして名前さんと湊さんを一緒にしてはいけないと思うのだろう。名前さんは仲間ではないか。十分に得体の知れている人物なのに。



2010.01.12

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