教室内は相変わらずザワザワしていた。
でも今朝はいつもよりもうるさい気がする。
というか、話題が一つだった。
このクラスに転入生が来る。
学校が始まったばかりのこの時期に転入するなんて、時期外れにも程がある。
その転入生の姿を見たとかいう人がいたりして、余計に盛り上がっているのである。まあ、そんなヤツがいなくたって盛り上がるには変わりないのだが。

俺も例に漏れず、栄口と転入生について話していた。
どうして今の転入なのか、どんな人物なのか。
金髪という噂はホントなのか。
先にある合宿と言い、盛り上がるイベントが多いな。
予鈴が鳴って、皆席に着く。それでもざわめきは収まらない。
そんな中、担任が一人の少年を連れて教室に入ってきた。








「今日からこのクラスで一緒に過ごす、苗字名前、だ」


無愛想に担任から転入生の紹介がされた。
転入生はまだ幼い顔立ちで、緊張したような面持ちで教卓の横隣に立っていた。
金髪というのは本当だった。でも不良というわけではなさそうだ、その表情がそれを物語っている。


「あー、苗字は外国から来たそうで、日本語は練習中らしい」



その担任の言葉にざわめきは大きくなった。
どうやってコミュニケーションを取ればいいのか、そんな不安からだろう。
現に俺も同じようにドキドキしている。



「……先生、苗字ってもしかして入学式から空いてるこの席ですか?」

クラスメートの一人が担任に聞く。
言われてみれば入学式からずっと休んでいるヤツがいた気がする。
発言したヤツの隣にある空席が当たり前になっていた。

そうだけど言ってなかったか?、なんてとぼけた担任の答えに皆が突っ込んだ。
話を聞けば、入学は決まっていたのだが中々飛行機のチケットが取れなかっただとかで、今日まで登校がずれ込んだらしい。
なんだ、それじゃあ転入生じゃないんだ。

とにかくよろしく頼む、と半ば投げやりになった担任は連絡事項を告げると教室を出て行った。
置き去りにされた俺達はどうしていいか分からず、ザワザワするしかなかった。
誰かが話しかければいいのだろうが、言葉が通じない相手にどうすればいい。

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