「おーっす」

珍しくも朝早くから泉が一人でここにやってきた。
ざわめきの中の微妙な空気から少しでも逃げようと、俺と栄口は泉のところへ行った。

「おはよ」
「はよ、どうした?」
「今日、転入生来なかった?」



少し驚いた。
これから定かになった情報が出回るものだと思っていたから、泉がそう言のは予想外だった。

「来たよ。情報早いね」
「まあ色々あるからな。どこ?」
「あそこ」


どうすれば分からず、とりあえずボーッとしている転入生もとい…苗字を指した。
その姿を確認した泉は、サンキューと言ってその方へと進んだ。

「え、話しかけるの?」


栄口がそう言った頃には泉は既に苗字のところへと辿り着いていた。
周りも驚いて、2人を見ていた。







「よ」
「…孝介」
「まだ眠たそうな顔してんな」
「……ん」


苗字は少しはにかみ、泉と会話をしていた。
泉がほぼ一方的に話しているのだが、ちゃんと苗字も頷いたり相槌を打ったりとしている。
その様子を見ていた周りも2人の話に混じって自己紹介をしたりなど、次第に苗字の周りには人がたくさんいた。




「……凄いね…」



思わずだろうか、栄口がそう言った。
そうだな、と言ってその様子を眺める。
泉が戻ったあとも人だかりは無くならなかった。



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