知らぬが仏


注意!現パロ/シーザージョセフ同級生/ちょい病みシーザー


同じクラスで仲の良い奴は誰?って問われたら真っ先に答えるであろうそいつの名前。シーザー・A・ツェペリ。所謂モテ男なチャラ男とも言える。というかそれしか言えない。甘いマスクに囁くような愛の言葉、一つ一つ慈しむような振る舞いに落ちない女子はいないだろう。

なぜこんな奴とバリバリ体育会系のモテない(認めたくないが)俺が仲が良いのかと問われればその質問に関しちゃあ俺だって分からない。ことあるごとに突っかかって来やがる(たまに俺も突っかかるが)奴を相手してたら喧嘩するほど仲が良いっつーか二人ワンセットみたいな扱いになってた。


そして今は絶賛放課後。いつもなら幼い兄弟の為に早く帰ろうと言うシーザーだがどうやら兄弟達は両親と一緒にお出掛けしているらしかった。だからか分からないが今日は女子に囲まれている状態からなかなか抜けないシーザーを待っている俺。
いつも一緒に帰るのだがたまに帰る時間が違うと「先に帰っててくれ」だの一言は断るシーザーだが今日は未だにGOサインが出ておらず黙って帰ろうか考えあぐね待ちぼうけを食らっていた。


女子に囲まれ幸せそうに頬を緩めるシーザーに不満が募る。ただ単に待ちぼうけを食らわされて怒っている訳ではないことには気づいていた。

「おーいジョセフ!」
「なんだぁ、お前シーザー待ってんの?」

クラスの友人が帰り掛けに俺に話しかけた。そうだと答えると一緒にファーストフード店へ行かないかと誘われた。

「んーでもシーザーちゃん怒ると恐いんだよねン」
「メール入れときゃ良いじゃん。それに待たせてるシーザーが悪いし」
「…確かにな!じゃあ俺も行くわ!」
「おー!行こうぜ!」

ポケットから携帯を取り出し素早く先に帰ると打つとシーザーに向けてピッと送信した。多分届いたであろう時間になってもシーザーは震えている自分の携帯には気づかなかった。



このアイドルの乳が良いだの下らない話を延々と話した後、俺は帰り道を歩いていた。まだまだ寒い今日この頃に身を震わせお気に入りの派手なシマシマのマフラーに顔をうずめる。
ふと気になってシーザーの返事が来てないか携帯を開くもメールは一通も来ていなかった。悲しくなったわけでも無く、ただ単純に泣きたくなった。虚しさだけが胸を占めていた。


***


次の日学校に来てみるとシーザーは昨日のことなんか気にしてないようにおはようといつもの笑顔で言ってきた。
気にしているのは俺だけか、とまた胸の虚しさがずんずんとのし掛かってくる。

「ジョセフ」
「んー…なあにシーザーちゃん」
「好きなアイドル、〇〇〇〇って趣味悪いと思うぜ。乳はあるけどな」

と当たり障りもなく普通に会話した。が俺はその言葉が異様に怖かった。何故ならシーザーが言った内容は今までシーザーに話したことが無かったものだったからだ。つい昨日、友人たちと話したとき初めて口に出した内容だった。

「シーザーちゃ、」
「ジョセフ、お前先に帰ってどこ行ってたんだ?」

綺麗な笑みを絶やさず言うシーザーの眼は、否眼自体は笑っていたが視線は、逃さないとでも言わんばかりに俺に突き刺さっていた。


「お前、夕飯前にあんなに食って太るぞ。ファーストフード店はラードの塊だからな」


その言葉で確信を得、俺は即座にシーザーと距離を取った。
どうしちゃったんだシーザー。いつものシーザーでは全くなかった。

「シッ…シーザー…ちゃん?」
「次、こんな事したら俺は―――」

「HR始めるぞ、席につけ」

チャイムがなったことにも気づかずただ俺はシーザーの囁いた最後の言葉の意味を反芻していた。


"次、こんな事したら俺はお前を監禁する"

HR中、斜め前に座るシーザーがいつもの笑顔で小声で話しかけてきた。

「今日は兄弟が居るし、早めに帰ろうな」

周りがお前ら本当に仲良いんだな〜とはやし立てる言葉さえも耳に届かず、俺はじわりと染み出た手のひらの嫌な汗をズボンになすりつけた。

いつものシーザーが恋しくなった。






***

書いてるうちに病んだ。
   
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