君の居ない未来に
※NL表現アリ
ゆっくり目を醒ます。周りには見覚えのない人ばかり。動かない思考を働かせるとどうやらコロシアイ修学旅行からボクは死んだにも関わらず幸運にも目を醒ましたと言うことだ。
しかし、その生き残ったであろうみんなの姿がない。辺りを見回すがみんな知らない人ばかり。場所はジャバウォック島なのに、まるで違う場所みたいだ。
「おはよう」
不意にボクに笑いかけた少年。ボク…は実年齢はアレだが18歳くらいだろうか。
「やっと起きたんだな。待ちくたびれたよ」
ボクについてるコードやらなんやらをブチブチと外していく。
彼は誰だ??少し赤みがかった髪に短い髪の毛。頭にはアンテナのようなものが鎮座している。
「君は誰?みんなは?」
「…後で案内してやるよ」
ばつが悪そうに言う彼に違和感を覚える。そして何より、彼の瞳の、あの射殺さんばかりのターゲットを絞るかのような模様。あれは、
ボクは促されるまま着替えと食事、あといつ切り落とされたのか無い左腕の検査。彼は全てボクについて回った。
「あのさ、みんなは」
痺れを効かし聞いてみると彼はそっと了承した。
「…良いぜ。ついて来いよ」
言われるままボクは彼の後についていく。
ついたのは中央の島のジャバウォック公園。そこには銅像をぐるりと回るように建てられた14個の石碑。そのひとつひとつには彼らの名前があった。
「俺らの爺さん…およそ100年前、かな。早くに言うべきだったんだが言えなかった。爺さんたちはみんな、お前が起きるのを待っていたんだ。でも、100年経ってしまった。みんなは起きたときお前がそのままでいれるようにって最先端の技術でお前の成長を止めてたんだよ」
目を伏せ悼むように語る彼にボクはフリーズした。ボクは彼らの居ない未来に来てしまったようで。受け入れられない事実にただ涙も出ず座り込んだ。ボクを祝福するように風が花木の香りを運ぶ。君らの居ない世界で、彼の居ない世界で、ボクは生きていける気がしなかった。
「辛いだろうが精一杯支えてやるから」
隣に座った彼の面影に彼を見た。もう思考を止めたかった。でも、 これは聞かずには居られなかった。
「…君のお婆さんとお爺さんの名前は?」
「…爺さんが日向創、母さんは―――」
ボクは生きなければならない。それがボクの業で償いだと。彼の墓標に触れ、涙が溢れた。
(君の居ない[創った]未来)