機嫌を損ねるな


※下品


「日向クンは誰をおかずにしているの?」

「ぶふっ」

狛枝にもらったオレンジジュースを詰まらせゲホゲホと咳こむ俺を心配そうに覗き込む狛枝に腹が立つ。お前の所為だ。

「ボク的には七海さん辺りじゃないかなと思うんだけどな。それとも罪木さんかな?はたまた小泉さん…かな?」

嬉々として名前を挙げる狛枝は笑っているがどこか違和感がある。いつもの希望爛々という感じでは無い気がする。

「…そういう狛枝はどうなんだよ」

半ば投げやりに聞き返す。答えを聞くならまず自分からってのが筋だろう。

「ボク?ボクはね…」

やはり答えづらいのだろうか。真っ白な狛枝の頬には少し朱が走りうようよと目線を泳がせている。いつもと違う様子の狛枝に少し調子が狂わされる。

「えっと…」

答えようとしない狛枝になんだか苛立ち俺は盛大に嘘をつくことにし、一世一代の狛枝の暴露を聞くことにした。

「俺はやっぱり罪木かな。言ったんだから狛枝のも教えろよ」

こんな下世話な話に名前を出してしまって悪いととてつもない罪悪感に見舞われる。しかし…あながち嘘ではないように思うから…いや、本当に悪い。罪木。

「えっ…罪木さん…?」

狛枝の顔はさっきとは一変し瞳に陰が入り無表情になる。

「っ」

ぶるりと底冷えするような空気に俺はただただ恐怖を覚える。狛枝の放つ冷気はそれほどまでに凍てついていた。

「ふぅん罪木さんなんだ…へぇ」

「なっ、なんだよ」

「じゃあボクのおかず、教えてあげるよ」
狛枝の反応に取り返しの着かないことをしてしまったのではないかと半泣きになっていた俺に狛枝は一気に間合いを詰めてくる。憂えた瞳にじっとりと見つめられ後ちょっとで鼻同士がくっつくと言うところで狛枝は口を開いた。

「毎晩毎晩、日向クンに媚薬を盛って感じやすくなった日向クンの胸とか首とか腹とか足とか太ももとか唇とかちんことかを弄って舐めてドロドロになったお尻をぶち犯すって想像して抜いてるよ」

狛枝は笑ってもないのにニコリとしゆっくり俺の腰に手を這わす。

びくりと反応する俺に上機嫌になる狛枝。そして段々と熱くなる身体に驚く。今は着てる服さえも擦れて感じる。

これはさっきの、と思った瞬間俺は逃げられないと悟った。

「日向クン、君のおかずは今日からボクになると良いな」


(日向創の男としての絶望)



*あとがき*
最初のオレンジジュースから絶望
   
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