偽り2


「ありがとう…左右田」

「つーかよぉ、オメーみてぇな奴がこんな所で号泣なんて心配しねえ方がおかしいぜ」

「…だな」

「何かあったのかよ」

つき合ってる彼氏に飽きられました。なんて言えるわけがなく。

「…いや、何でもないよ」

うやむやに誤魔化すと不服そうだが、納得はしたらしく余程のことがあったんだなと言った。

「まあこれも何かの縁だろ。何かあったら相談くらいは聞いてやるからよぉ」

ポンポンと俺の頭に置かれた手の先には恥ずかしそうにでも心配そうな左右田。

なんだか可笑しくなってきた俺はクスクスと笑ってしまう。

「なっ、わっ笑うんじゃねぇ!」

「ははっ、ありがとう、左右田」

左右田に笑いながら礼を言う。涙はいつの間にか止まっていて狛枝の事を一瞬忘れていた。

「まっまぁな」

照れ臭そうに頬を掻く左右田にメアドでも聞こうかと口を開こうとしたとき、


「何やってるの日向クン」

第三者の声に左右田、俺も驚く。

「狛…枝……?」

突然乾いた口の中。からからになった口から声を絞り出す。

「左右田クン、日向クンをお借りしても良いかな」

最早疑問系でも無い狛枝の台詞に左右田が返答する前に俺の腕を引っ張り上げ無理やり連れて行かれる。

「こっ狛枝!?」

「何」

「なんなんだよお前!」

今まで俺を避けてたくせに!!あまりに理不尽で意味が分からなくてただ憤りしか感じなかった。

「…はぁ、まだ分からないかな。分からないか、予備学科生の君には」

冷たい声に背筋が凍る。俺が知っていた狛枝ては明らかに違った。

「君が素っ気ないのがいけないんだよ」

「…は」

「君がボク以外と話すから、ボク以外を瞳に写すから、拗ねちゃった」

前を向いていた狛枝が突然くるりと振り返る。笑っているのに目が笑ってない。絶対零度の瞳に膝が笑い始める。

「狛、枝?」

「ボクはただボクを貪欲に求めるキミが見たかっただけなんだけど。押して駄目なら、引いても駄目なら、監禁でもすれば良いのかな?」

「な、何言って、」

「愛してるよ。愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛し尽くしてるよ。日向クン」

膝に力が入らなくなりヘたりと座り込んだ俺に狛枝ゆっくりと口づけた、





狛枝を壊したのは俺なのか、はなまた元からなのか、聞きたいけど猿轡の所為で聞けない。

今日で監禁3日目だ。
   
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