の矛盾


 ウェラー先生が追加のプリントを持ってくるために部屋を出ていった。
 その間にやるオレの小さな願掛け。
 プリントを裏返してそれは始まる。
 まっさらな白い紙にシャーペンを構えて……
(上、右下斜めで、そのまま左横に線引っ張ってまた上に……)
 出来上がるのはアイアイ傘の記号。一筆描きで描くのがいいらしい。
 そんなことを誰かが言っていたきがする。

 傘の右に渋谷有利
 傘の左にウェラー・コンラート

「叶えばいいなあ……」

 ――ガララっ

「っ!」
 突然にドアが開き、オレは勢いよくアイアイ傘を消しゴムで消す。
(あ、やばっ……紙がクシャッってなった。それに痕がうっすら残ってる)
「少し遅くなりました。……渋谷君何かありました?」
「いやっ! なんでもないですよっ!!」
 あははと引きつった笑いを見せてそれ以上の詮索を止めようと必死に促す。
「? そうですか?」


 恋の矛盾


 プリントの裏側に広がるオレの気持ちと、そのプリントの表に広がる隠したい気持ち。

 だけど、叶えたい夢はただ一つ。


END