ャープペンシル


 今は大好きなあの人の授業中。
 背が高くて髪は茶色。
 惹き付けて止まない銀色の星が輝く瞳。
 甘く低い声。

 コ・ン・ラ・-・ト・ウェ・ラー

 カチカチカチカチ……八文字

 し・ぶ・や・ゆ・う・り

 カチカチカチカチ…六文字
(あー……長い)
 名前の数だけ、伸びたシャープ芯。
 それを慎重にノートの上に走らせる。
(あ。)
 ぱきん。
 折れた。とたんに、目が覚めるような羞恥心に襲われた。
(オレは乙女かっ)

─互いの名前数だけ出した芯を使いきれば恋は叶う─

 ふっと、お袋の言葉が頭に浮かぶ。

『恋をしてればそれしか見えないの。盲目よ。』

(そう、かも)

 恋い焦がれるあの人後ろ姿が見える。
 恋よ、叶え。叶うならば、恥ずかしくともなんだってしよう。


END

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教師コンラッドに片思いする生徒ユーリ