小猫とケティの秘密
私はケティ。
コンラートがお仕事に出ているときにユーリと一緒にいるのが役目。
いつもユーリはコンラートが家を出たあと真っ先に寝台にいる私を迎えにきてくれる。
私はユーリのお友達。コンラートはきっと自分が一番なんでも知っていると思っているのでしょう。
でもね本当は違うのよ。私とユーリしか知らない秘密があるの。だって私とユーリはお友達。
ユーリはいい子。だから出された人参もピーマンも残さず食べる。
でもね。
本当はユーリは人参もピーマンも大っ嫌い!嫌いなものがたくさんあったの。
ユーリは前にそんなことを言っていた。
『ゆーちゃん、あのね。おやさいきらいなの』
『そうなの?』
『だってね、だってへんな味するもん』
『だけど、ユーリは残したりしないよね』
『ゆーりはここにくるまでたくさんきらいなたべものあったの。だってぜんぜんおいしくなかったんだもん』
きゅっと眉をよせてユーリは私に顔を埋める。きっとコンラートがいなくて寂しいのだろう。
『でも、こんらっどにあってからは、ぜんぶたべれるの。おいしいっておもうの。いいこ、いいこされるとぜんぶたべれる』
ユーリは健気だ。コンラートに好かれようと必死に努力をしている。きっと、そんなことをしなくてもコンラートはあなたにメロメロなのにね。
『けてぃ、ひみつだよ。きらいなたべものあったなんていっちゃだめだよ』
『ええ、もちろんよ。だって私たちは友達ですもの』
「けてぃー!おしゃべりしましょー」
ああ、今日もユーリがやってきた。抱き締められると太陽の匂いがする。
正直、ユーリを抱き締めることができるコンラートが羨ましい。
だけど、私はコンラートの知らないユーリの過去を知っているの。
誰も教えてなんてあげない。
だってこれは二人だけの秘密だもの。
さあ、ユーリ今日もいっぱいおしゃべりしましょうか?
END