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「くっそー…こんな奴放っといてさっさと砂漠に行けば良かったぁー!」



主人公は湖の水を操り小さい水弾をいくつも松明の炎に飛ばす

メグはそれらを嫌がるように松明を振り回し
紫の火の粉を降らせた






「クスクス……、魔王様はアナタのトライフォースを欲しがっていたわ…」



巨大化になった分いくらか低い声でメグが笑う

主人公は目を見開いて仮面の下のメグを睨むように見上げた




「貴方…ガノンドロフに会ったの!?」


メグは主人公の質問には答えず何重もの声を立てながら
仮面の目の部分から炎の閃光を発した



空中に避けた主人公を片手でさらい
メグは仮面の下の目を細めた

そこに透かさず爆音がして
大砲からの水弾がメグの頭を擦っていった




「っこらーー!外してんじゃないよ!!」



「クスクス…、利口じゃないのね、炎に当てたいの?」



主人公を仮面の前に持っていくと
その小さすぎる彼女の姿をも嘲笑った


今度は確実に松明に向かっていった水弾を
メグはヒラリとかわした

次で最後の一発だとメグも知っているらしく
嘲笑の声が一段と増していった




「く、っそ…、ムジュラー!目、覚まして!!」



「クスクス…クス…無駄みたいよ?ずっと意識が無いもの…よっぽどショックが大きかったんだわ」



「ムジュラ…、ムジュラ!勝手に不貞腐れんな!ボケ!キモ仮面、くそガキ!起きろぉー!!」




メグが呆れたように主人公を見下ろしていたときに
最後の水玉が発射された


狙いは申し分なかったが

メグは松明を上に掲げて難なくそれを避けた



しかし水玉はメグの腕の下を過ぎていく前に弾け散った





「!!?」


「勇者の影!?」



水の弾から勇者の影が飛び出し
散った水弾によって勢いを弱めている紫の炎に黒剣を振り下ろした



炎は剣圧の風で真っ二つに割れ音もなく消えた





「あ、…いや…そ、んなあぁ…―――!!!」





その炎と同じようにメグの体が縦に裂かれ
ハイリア湖の水面を振動させる叫びがあがった


「やった!!けど、やってなぃぃー!!」



主人公は支えだったメグの手が無くなり空中に投げ出された
勇者の影は自身の落ちる勢いに加えて灯りの消えた大松明を蹴り速度をあげ
地面につく寸前の主人公を素早く腕の中に収めた
数秒遅れで松明が落ちてきて
誰かの持ち物だった大砲に直撃し
轟音を立てて大砲と松明が大破した






「勇者の影!よくやったよ!一発昇天だった!!…ところで何で水玉から出てきたの?」



「……湖に叩き落とされて…気付いたらあの中だ」




勇者の影は乗り物酔いに襲われでもしたように顔を青白くさせていたが
主人公を陸に立たせてすぐに周囲に視線を突き刺した


二人が降り立ったその周囲には
元の小さいサイズの松明が何百と浮いている







「まだ終わってないらしい」





勇者の影が剣を構え直すと同時に

一斉に松明に炎が灯り

松明の数だけの忍び笑いとメグの姿が二人を取り囲んだ







「っ!!これ…どーするの!?」



「ふん…湖の水位でも上げてみるか?」










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