いつもと同じ夜だったんだ、主人公とダークリンクにお休みって言って、宿屋の温かいベッドで気持ちよく眠りについた
ふと目が覚めたら星空があって、驚いて飛び起きると知らない人たちがいて
黒い男の人と紫っぽい人、二人とも寝てたから反射的に逃げるなら今だって思った
極力足音をたてないようにして主人公を探しに行こうとした、のに
音もなく現れた誰かに組み伏せられ地面に倒れた、…痛い
「…何奴」
「い、た、っ……多分ただの通りすがり、だから離してくださ…」
「主人公様の姿が見当たらない……どこへやった」
「俺が知りたい、主人公はどこにいったの……クソ、離せよクレ!」
「っ!!」
俺の予想外の抵抗に驚いたのかそいつは咄嗟に飛び退いた、滅茶苦茶に振りまわした右手が空を切る
というか俺、咄嗟にクレ、って呼んだけど、何だろうこの感じ、変だ
その声と冷たい手に憶えがあったから呼んだはずなのに、記憶がはっきりしない、知ってるはずなのに、何だこれ気持ち悪い
ただ俺の中ではっきりしてるのは主人公だけだ、どこにいったんだろう、むしろここはどこなんだろう
「貴女は……」
「…何を騒いでいるんだ、クレ」
「変な夢でも見てたんじゃナイの、ぷヒヒ」
ああ最悪だ寝てたはずの二人が起きた
逃げ出そうにも、何やら本当に俺の知り合いらしいクレって人が黄色い目を光らせてるから出来ない
俺には黒い人と黒紫の人が起きてくるのを見ていることしかできなかった
多分これは悪い夢だ、誰かそう言ってくれないか
「主人公様が、いないのです」
「何…!?」
「さっきまでいたノニ…つかコイツ、ダレ?」
紫の人はふわりと軽やかに俺の前に寄ってきて、黄緑色の瞳でこちらを覗きこんできた
主人公がいない、と聞いて若干取り乱したらしい黒い男の人はといえば真っ赤な目でもって俺をすごく睨んでる、正直怖い
でもあの人少しダークリンクに似てるような気がするんだ、髪の色とか目の色とか真黒なところとか
だからといってそれは俺が安心できる要素になるわけじゃないんだけどね
「お、お前らに名乗る名前なんてない!さようなら失礼しました!!」
こんな知らない人たちに囲まれてちゃ彼女を探そうにも探せない
だからさっさと逃げ出して取りあえずこの人たちから離れようとしたのだけれど
俺はまたあっという間にクレに取り押さえられて、その場に留まることを余儀なくされた
孤立無援、今の支えは頭の中にしっかりといてくれる主人公だけ
彼女は今どうしているだろう、俺の助けを必要としてるかもしれないから、早く見つけないといけないのに
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