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いつも通りクロくんやダークリンクくんとおやすみって言って別れて、寝て、起きたら
知らない場所にいたの、それに知らない人もいた
何なのこいつら、はっきり言って変な三人組なんだけど、そのうちの一人がやたらダークリンクくんにそっくりで
だけどそんなことよりクロくんがいない、寝起きのぼーっとする頭でクロくんの名前を呼んできょろきょろしてたら
何か背の高い、橙色の頭のお兄さんが私の肩をがっちり掴んできた、何この人怖い



「お前…あいつをどこへやった?」



手が冷たい、あれ、この人よく見たら影の人じゃん、肌の色がクレと同じ、あれ、クレって誰だっけ、頭の中がぐちゃぐちゃで何も思い出せない
気持ち悪くてきょろきょろしてると、怖いお兄さんの後ろから誰かがひょっこり顔を出した
赤紫の長髪と、何か角みたいなのが生えてて民族衣装っぽいのを着てる、三人組の中で一番怪しい人だ
その人はとん、と私の額に人差し指を当てて、喉を鳴らしてくつくつ笑った、何がおかしいの、腹立つんだけど


「ダメだヨイクサ、コイツ、アタマの中ぐっちゃぐちゃ。くひヒ、でもクロの知り合いみたいだ」


「クロ……そう、クロくん、クロくんはどこ!ねぇどこなのよあんた知ってる!!?」


橙色のお兄さんの肩を逆に掴み返してがくがくと揺さぶった
私のその行動が彼には予想外だったみたいで両肩の冷たい手が驚き離れた、もう本当意味わからない
私とクロくんは普通に宿屋にいたはずなの、ダークリンクくんも一緒で、そうだ何か凄くダークリンクくんに似てる人もいるんだ、そこに
その人は他人事みたいに私とイクサって人と、ケタケタ笑ってる長髪の人を眺めてて、終いにはだるそうに欠伸をしていた

その様子にイラッとした私は傍にあった石ころを拾って投げつける、彼の黒い帽子に包まれた頭に命中、スコーンと良い音がした


「な、っ貴様、何をする!」

「あんたこそ何よ、ダークリンクくんにそっくりなんだから私を助けるくらいしたらどうなの!命の恩人でしょ!!」

「そっくりも何も俺はダークリンクだ!…いや、違う、今はグレイと名乗っている!」

「誰もあんたの名前なんて聞いてないわよ、それよりクロくんは…」

「そんなの俺が知りてぇよ、あいつ一体どこいきやがったんだ」


一頻り私に揺さぶられたイクサって人は至極面倒くさそうにガシガシと頭を掻いて溜め息をついた
どうやらこの人たちはクロの知り合いらしくて、となるとここはあの子がいたハイラルなのかもしれない
だってさっきまで私たちがいたハイラルには私たちの知り合いなんてリンクとシークくらいのものだったし


「あんたたち…クロの何なのよ」

「保護者兼仲間。そういうお前は」


イクサの橙色の瞳が細くなって私を睨む、怖い、でも動じたら負けだと思う
私は胸を張って答えてやった


「私はクロくんの相棒、主人公よ」


今は助けてくれる人がいない、一人だけど、大丈夫
曖昧な記憶の中にただ一つだけ確かなクロくんっていう存在がいてくれるから
きっと私は大丈夫




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