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実際に光の矢は効果的だった
男は今までのように黒い影へと状態変化出来なくなった
更にはその場から動けないらしく
主人公は悠々と上から見下ろしていた




「洗い浚い吐き出しな!勇者について知ってること」

「……」


急遽でかい態度に変わった主人公を睨み上げるだけで男は黙りを決め込んだ


「…もぉー、黙ってても矢は外れな…―」



主人公は言葉を切った

男の背後の離れた場所に今まで倒れていたモイとコリンが起き上がったのを見たからだ



「あの二人っ…殺されたんじゃ?」




主人公は一度男の方を見たが彼はわざとらしく目を逸らした

主人公は二人の元に駆け寄り頭を押さえてボーッとするコリンの顔を覗き込んだ


「大丈夫?なの?」


「あれ、主人公…さん」


見たところ何の外傷もない
顔色も優れているし
あの男に何をされて倒れたのか不思議なくらいだった




「何で…倒れてたんだろう、父さんも」


主人公はキョロキョロと周囲の様子を伺うコリンを見てもう一度黒服の男を振り返った


疑問は残るけどまたこの二人に危害が及ぶのは後々面倒だと考えた主人公は
彼らをあの男から遠ざけるために早く出立するように促した




「ねぇ、あの……勇者の、リンクのこと、何でもいいから知ってること教えてくれない?」



山羊車に乗り自分達自身よくわからないままに走りだそうとするモイとコリンに問いかけた
一番肝心なことを聞かずに別れるわけにはいかない
彼らの返答によっては主人公がトアル村に行くかどうかが決まるのだ



「…リンク?」


「何だ、そのリンク?ってのは…人の名前か?」




「………………………はぁ?」




モイとコリンの親子はそろって不思議そうな顔をしたが
主人公はそれ以上に阿呆な表情を返した

まるで二人はリンクという人物を知らないような素振りだった
確かにコリンはリンクを知っていると言った
何故それを今更に知らないフリをする必要が…







『記憶』は…糧……



主人公は男の言葉を思い出す




「あいつ…リンクに関する記憶、食べた…とか?」









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