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「もう我慢なりませんわ!!一体全体いつまでわたくし達を無視していらっしゃるおつもりかしら!?」


暗く狭い、処刑場の通路
不気味な雰囲気の場所には似合わないヒステリックな声が木霊した

争いを止め話がまとまった勇者の影とムジュラは
やっと自分達以外の声に耳を傾ける気になったようだ
見れば、何やら分からないがとても憤慨している三色のポウが二人を取り囲んでいた



「…何だ貴様らは、いつからそこに居た」


「ずっと居ましてよ!!」

青色の炎を持つポウがズイッと勇者の影に近付き、怒りおさまらず松明で彼の頭をベチベチ叩き始めた


「何なノ、オマエら」


ムジュラが先程と打って変わってケラケラ笑いながらその様子を眺めた後
やっと見覚えの無い者達に対して疑問が浮かんできたのでポウ達に問うた

するとポウ達は目の色を変えて二人から少し距離をとって並び始めた




「クスクス、私達、そんじょそこらの亡霊とは格が違いますのよ…その名もッ!!」


「緑の春風、エイミー・サラ・フロリア!!」

「青の玲瓏、ベス・シルビ・フロリア!!」

「赤の情愛、ジョオ・ラッゼ・フロリア!!」


「三人揃って…ポウ四姉妹ですわ!!」



彼女達がそれぞれの台詞と決めのポーズを終えると
満足したような溜め息が赤のポウ― ジョオから漏れた


「おぉーナンカ格好良い」

ムジュラが一人拍手を送り目を輝かせている横で
勇者の影がとてつもないあほ面で呟いた


「四姉妹には、一匹足りないようだが」


ムジュラの称賛によっていい気分になったのも束の間
勇者の影の言葉を聞いて四姉妹(マイナス1)は各々の松明で顔を下から照らしあげて恐怖の表情を作った


「な、な、なんてことを…っ」

「こんなに礼儀を知らない方、私っ、…初めてですわ!」

「私達に恥をかかせるおつもりなの!?」


キーキーと口々に叫びポウの姉妹は再び二人を取り囲んだ


「…魚雷を踏んでしまったか」

「それをイウなら地雷だよネ」


しかし、やはりと言うべきか
どうやっても緊張感の欠片も持てない勇者の影とムジュラに
青のベスが冷ややかに笑み、光る目をほっそりと薄めた



「クスッ、いつまでもそのような態度でいいとお思いかしら?」



何かとっておきの奥の手でも隠し持っているような口振り
三色の炎が揺らめき二人の周囲を回り続ける
ジョオとエイミーも続けて言葉を紡いだ




「クスっ…そうね、確か…あの女性は、貴方たちのお連れの方だったかしら」


「…何だと?」


「貴方たちが今、何処にいるのか分かっていますの?」

「ここは砂漠の処刑場、生を許さない死者の怨みの墓場」







「その方も貴方たちも、生きてここから出られませんわよ、…クスクス」










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