300字SS様(@Tw300ss)と、リレー小説で参加させていただきます科楽倶楽部様<サイト(別枠)>に関連した作品です。 ジェイド・M・ダグラスについて→こちら 行き詰った。 分厚いノートを閉じ、立ち上がると小さく伸びをする。喉の渇きを覚え、研究室を出た。廊下の掃除をする女性に小さく頭を下げ、真上の配管から聞こえてきた鼻歌に瞠目する。 ようやく水道を見つけ、コップを近づける。流れ込む水を見て、ふと、思う。 この水は、移民船を百年以上、巡り廻ってきたのだ。 船外に放出された水や、水素と酸素を電気分解した「新しい水」もあるだろうが、ほとんどはこの船内に閉じ込められたまま、人の一生よりも長い時間を巡り続けている……。 無論、最適な処理は施している。水の管理も、食糧管理部の仕事だ。 いや、やめよう。首を振り、水面に映る疲れた表情に苦笑いしながら、ジェイドは水を飲み込んだ。 [目次] [小説TOP] 4 |