第74回フリーワンライ「秘密はすべて言葉の片隅に」

第74回フリーワンライ「秘密はすべて言葉の片隅に」



お題:
白雪と銀世界
本音に隠した嘘を見つけて
好き、嫌い、好きの法則
ピアニッシモの本音
美しき悪
ここでクイズです

ジャンル:オリジナル 何かと問われれば恋愛かもしれない


787文字






貴方、好き、嫌い、好きの法則って知っていて?
なぁに、知らないの。奇数の花を探せば、必ず好きで終わるのよ。
確かめてごらんなさい。
外国のお伽噺に出てくる、白雪という姫。
少しの畏敬を込めてその二つ名で呼ばれる少女。
綺麗な唇が弧を描く。
妖艶に笑むその顔には、幼さと色気が同居している。

では、もし偶数が見つからなければ?
僕は問う。
そうね、嫌いから始めれば良いんじゃないかしら。

僕は、白雪と銀世界にふたり立っている。
暮れなずむ白い平野に咲く、真っ赤な大輪の花。
もったりとした紅をひとつ摘んで、白雪は花びらを数え始める。
でもね。わたくし、やはり好きから始めたいの。恋も愛も、みな「好き」から始まるのでしょう? ーー嗚呼、悔しい。この花は14枚。
透き通るような指が、動きを止めた。

ならば、どうするのでしょうか?
僕はまたも問う。
そうね、こうしたらどうかしら。

白雪は花びらを一枚摘まみ、ほんの少し力を込める。
あっけなく引き剥がされる一枚の真紅。それを指先で摘まみ、優雅な動作で僕に渡す。
わたくしからの贈り物。最初の「嫌い」を、貴方にあげる。
清々したわ。さあ、あっちへ行って頂戴。
良いこと、わたくしは、これから大切な占いをするのだから。

かしこまりました、白雪の君。僕は貴女のそばにふさわしくないようだ。
僕は告げる。
にんまりと目を細め、悪女のように微笑む彼女。
その唇が小さく動く。いつもの癖だ。彼女が溢すピアニッシモの本音は、僕には聞き取ることができない。




さあ、ここでクイズです。
美しき悪女のような彼女と僕が紡ぐ、本音に隠した嘘を見つけてください。
そして探してください、本当の本音を。





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