第14回300字SS「宇宙の作曲家」 お題:音 相棒の一人乗り宇宙船に乗り込んで、今日も素敵な「音」探し。 直接耳で捉えるわけではない。船の速度を落とすと、しっかり命綱をつないで、無重力の宇宙空間へ。 手には五線譜とボールペン。 白い譜面と星の並びを見比べ、五本の線に丸を塗る。 明るい星はゆったりと長い音、小さな輝きはスタッカートを利かせた短い音。連星は連符。星雲は演奏者泣かせの大一番。だだっ広い空間はしばしの休符。 宇宙船にひきずられつつ、360度の空間を縦横無尽に動き回りながら。 おや、どうやら前の譜面と似ているぞ。 ならばここに留まることもない。もっと遠く、音を探しに行こう。 宇宙船によじ登ると、エンジンをかける。 僕は宇宙の作曲家。 一曲いかがですか? イメージ→『Vandrestjerner』 [目次] [小説TOP] 36 |