掌編SS俺のグルメFES「大地の林檎」

web&アンソロジー企画「掌編SS俺のグルメFESTIVAL」(公式サイト)様に参加させていただきます。
2作品目。


ジャンル:オリジナル SF
注意書き:○○は優秀





惑星間輸送船が着陸に失敗。その一報に移民たちは絶望した。
重罪人が惑星開発の名目で送り込まれた小惑星。薄い大気とわずかな氷、あとは岩。
持ち込んだ種も苗も根付かず、固形食糧も底をつく。母星に泣きつき、恩赦代わりに送ってもらった船だったのに。
数人の若者が意を決し、岩場の真ん中で煙を上げる残骸へと近づく。
痩せこけた体でピットをこじ開けると、水蒸気の熱風。
「中身は」
覗き込むと、固形食糧が数箱と、茹であがったジャガイモの山。
腹の虫が一斉に鳴いた。温かいうちに。全員で芋を分け合う。
温かく、懐かしい味。涙を零しながら頬張った。

誰かが、ふと気づく。
送ってもらったのは食料と「種」だった。
かじりかけの芋に眼を遣る。









ジャガイモは優秀ですね。食料にも種にもなる

文字数をひねり出して焼き林檎も作りたかったです……




*掌編俺のグルメFESTIVAL参加作品*

1作目「あつあつドーナツ」
2作目「大地の林檎」
3作目「甘露」
4作目「Von Grimoire zu Kochbuch」

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