第12回300字SS「二生のお願い」 お題:願い 「あなたは2年前に『一生のお願い』をしているでしょう。だから今回の願いは無効よ」 「そこを何とか!じゃあ、えっと、二生のお願い!」 顔の前で手を合わせ、男が頭を下げる。 「次の人生のお願い枠を前借りだなんて、ずいぶんとまあ都合の良い輪廻転生論だこと。……そこまでして叶えたいものなの、この願いは?」 腕を組んだまま斜に立ち、それでも視線だけは彼に向けている女。普段弱気な男は顔を上げると、それをまっすぐに受け止める。 「もちろんだ!二生でも五生でも前借りする、何ならこの前の一生の願いを取り消してでも良いから。俺と結婚して下さい!」 「取り消すならこの関係も解消されるわよ」 「ああっ!やっぱなし!取り消しなし!」 [目次] [小説TOP] 13 |