遺跡調査が終わる予定の日、迎えの船がふたりがいる浮島に着岸した。それはたった二日間と半日のことで、ヴァイスは殆どの時間を調査に費やし、ハントはだらだらと過ごしていたのだろうと踏んでいた仲間たちは首を傾げた。が、なにも言わなかった。
ぼろけたハントの着衣、明らかに戦闘が起きたのを示している。その割にヴァイスは(疲弊はしていたが)小綺麗で、それから不機嫌だった。淋しかったかー?ふざけるハントを横目で睨む。
この一連の手がかで、仲間たちは成る程と勝手に納得してしまったのだ。偶然にも(いや、導き出される答えはお約束であるアレ、ひとつなのかもしれないから、必然にも)皆考えたことは一緒だった。

「ザードくーん?淋しかったですかぁー?」
「やっめろおっさん!なんかくせぇし!風呂行って来い」
「おっ、一緒に入るか?」
「馬鹿言え!」

そんなやりとりを仲間たちは微笑ましく見守った。レイナスがいつもの調子が戻ってきたのを喜びながら、ヴァイスにウインクを飛ばす。どこか惚けているヴァイスはぱちくりと瞬きをした。
雷落としすぎたのか?なんて笑うレイナスの言葉にも、ワンテンポ遅れて反応したのだった。

「…雷?」
「バルザライザー、お見舞いしたからあんなぼろぼろなんじゃないのか?」
「いえ…その、」

ヴァイスは顔を背け、睫毛を微かに震わせた。瞳を閉じればあの光景が浮かんできそうで、あのやりとりが繰り返されそうでじっと床板を見つめる。
そこで漸く自分たちの勘違いに気づき始めたが、彼をよく知る仲間たちはヴァイスが何を言っても自身が納得しないと口を割らないのはわかっていたので、細い肩を叩いて各自部屋に帰ることにした。
何かあったら言えよ、とロナードは彼にしては珍しく気の利いたセリフをかけたのだけれど、ヴァイスには届いていない。



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