四季折々 | ナノ

銀色の熱




目覚めた時から寒くて布団から出るのがしんどいな、と思いながら窓へ視線を向けると外は雪で白く染まっていた。今日は乾くんが家に来る予定だから道は大丈夫か少し不安だ。

「もしもし、雪は大丈夫?」
『心配ないよ。そっちに行くのに問題はないから予定通り10時半に到着する』
「うん、わかった。気をつけてね」
『なまえからもらったマフラーもあるから心強いよ。じゃあ、また後で』

電話越しの穏やかで優しい声がいつもと変わらない乾くんで安心する。きっと私が不安だと気づいていたのだろう。彼を迎えるために暖房の温度を調整して温かい飲み物を作るためにキッチンへ向かう。


◯◎◯◎


時計を見ると約束の時間まであと少し。お気に入りのハニージンジャーティーを用意して少しゆっくり過ごす。彼が来るのを待ちながら時計の針の動きを見る時間はこの上なくわくわくする瞬間だ。もうすぐ時計は10時半を指す。高揚感とともに耳に入るインターホンの音。玄関まで向かえば私がプレゼントした大きなマフラーに包まれた乾くんがいた。

「本当に時間ぴったりだね」
「なまえを待たせるなんて俺が嫌だからね」
「そういうところ本当好きだなあ」

彼の頬に手を添えると凍ったように冷えていて外に出ていなくても寒さが感じられる。少し背伸びをして唇を重ねたらそこもひんやり冷たくなっていた。

「なまえはどうしたのかな」

突然のキスに驚きつつも乾くんは私を優しく抱き締める。温かな部屋にいたとしても乾くんのぬくもりには勝てないな、と考えながら私も彼の首に腕を回す。

「私の温もり口移し、かな?さっきまでジンジャーティー飲んでたから。来てすぐ飲めるように準備してたの」
「ちょっと甘かったけど蜂蜜入りかな?」
「当たりです」

二人で笑い合いながら彼のアウターを受け取り部屋の中へ向かう。あらかじめ作っていたジンジャーティーよりも結局人肌に触れるほうが温かいものなのかもしれない。


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