四季折々 | ナノ

北風がまたやって来る




冷たい風が頬を掠め、きゅっと身体が縮こまる。日が落ちるのも早くなり始めて出掛ける時間も自然と早くなる。昨年のクリスマスに乾くんからもらったマフラーを巻いて外に出られる嬉しさが足取りに現れる。

「具材持ち寄ってお鍋作るのなんでやらなかったんだろうね」
「確かに。今までたくさんなまえと料理してきたけど、あらかじめ用意したものか一緒に買ってきたものを使っていたからね」
「一緒に買い物行くの楽しいしね。今度行く時は色んなスーパー巡ってみたいな」
「じゃあその日までに各スーパーのデータを集めておくよ」

片手は食材、もう片方はお互いの手を繋いで歩く。末端冷え性もあり寒さで手がひんやりとしていて彼を温めることができないのがちょっと悲しい。

「この道も二人でたくさん通ったけど、葉がなくなると改めて今年もずっと乾くんと過ごしてきたんだって実感するなあ」
「俺もまたなまえと一緒に冬を過ごせて嬉しいよ。プレゼントしたマフラーも見られるしね」
「むしろマフラーのために冬が来て欲しいくらい」
「なまえにとって冬の一番の楽しみになってしまったね」

笑いながら指を絡ませ、枯れ葉が落ちて茶色く染った地面を踏みしめる。かしゃり、と鳴る足音とお互いの声しか聞こえないような感覚がする。

「私も乾くんにマフラーあげようかな」
「それは楽しみだ。なまえのプレゼントはどこで買ったのか予想できないからね」

楽しみにしてる、と上から囁かれてほんの少しだけ顔が火照る。乾くんはちょっとずつ私のことを揶揄うことを覚えてきたようで、昨年の冬よりも彼に翻弄されそうな気がしなくもない。


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