おれが来ちゃった!期末
雄英に来て初めての期末テストだぜ。
俺の成績はちなみに真ん中くらいだ。雄英でも赤点は取ることはないくらいはできるだろう。
そんなことより俺としては常闇と勉強会したい!
中間は範囲狭かったしそんな話題にもならなかったからできなかったけど、今回は補習や林間合宿がかかっているのでみんな本気だ。
友達と勉強会なんて初めてだし、勉強会、楽しみすぎて、楽しみだ。
休み時間、俺はさっそく常闇の元へ行った。
「常や……」
「唐沢くん!」
「黒羽?」
俺が常闇の席に近寄り常闇の名前を呼ぼうとした途中で、A組に現れた黒羽により遮られた。
黒羽の後ろには騎馬戦を一緒した女の子達もいる。
「唐沢くん、良かったら私たちと試験勉強しない?放課後図書室で。後、演習試験の方の対策も一緒にして欲しいんだけど」
駄目かな?と黒羽は可愛らしく首を傾げてくる。
その様子を見ていた峰田が目をかっ開いているけど、気が付かなかったことにした。
「俺でいいなら。でも俺A組なのに良いのか?」
「A組だから良いんじゃない。唐沢くんの方が頭良いし。頼りになるものね」
それに後ろの子達も頷く。
まあ断る必要もないしな。
「分かった。じゃあ放課後勉強しよう」
「うん、ありがとう」
「ふっ、俺が教えるんだから木造の船に乗ったつもりで安心したまえ」
「安心していいのか不安になるね。じゃあまた唐沢くん放課後に」
「おう、またな」
要件が終わると、黒羽達は去っていった。
すると峰田が俺へと突進と頭突きを合わせたものをしてきた。俺はそのまま押し倒される。
「この、うらやましいぞ!ちくしょーー」
「はあっ、ちょっ、お腹にくっつくな」
俺の腹にそのままくっついた峰田を剥がそうとしたけれど、その前に峰田に常闇の影と轟の氷が襲い、峰田は俺の上から退かされた。
「離れてやれ」
「静かにしろ」
ほぼ同時にそう言った二人に助けられた俺の胸はときめく。
持つべきものは友達だ。
「常闇、焦凍、俺の大親友ありがとう!」
感動して二人に満面の笑みで俺はお礼を言うと、二人は……常闇までもが顔をしかめた。
倒れたままの俺に焦凍は手を差し出した。
「恥ずかしいことを言うんじゃねえ。つかまれ」
「おう!」
俺は焦凍の手を借りて立ち上がった。まったく俺を押し倒すなんてセクハラだ。訴えてやる。どこかに。
「なあ。放課後あいつらと勉強するなら金曜はどうすんだ」
「ああ、それは普通に黒羽の方を断るよ。焦凍の方が先だし当たり前じゃん」
「そうか」
焦凍と金曜日は一緒に鍛錬するって約束していたしね。
その答えを聞くと焦凍は納得したように自分の席に戻って行った。
「金曜なにかあるのか?」
焦凍がいなくなってからその場に黙って立っていた常闇はじっと俺を見て、尋ねた。
「うん。焦凍と一緒に鍛錬に励もうぜ!って約束したんだ。前一緒に遊びに行った時の交換条件みたいな?焦凍と一緒にゲームセンターに行ったんだ。あれ難しいね、クレーンゲーム」
「ゲームセンター?」
「あれ?常闇も行ったことなかった?玩具がいっぱいある店だよ」
「ゲームセンターなら行ったことはある。唐沢は行ったことはなかったのか」
「おう!初だったよ。良ければ今度試験終わりにでも一緒に行かない?クレーンゲームって得意?得意なら――」
俺が喋っているとチャイムが鳴った。うむ、席に戻らなくては。
俺は緑谷みたいに「おいらの方が勉強できるのに」とかブツブツ言っている峰田を回収しながら常闇に手を振った。
「じゃあまたなー。常闇」
「ああ」
常闇が頷くのを見て、俺は急いで席へ戻った。