おれが来ちゃった!体育祭5

 戦いが終わって帰る途中轟と会った。
 これって運命?

 はい冗談です。同じ選手だからですよね。

 「おい、おまえ」

 「はい、なんだい?」

 「なんで今の試合本気でやらなかった」

 と、轟に真顔で訪ねられました。
 茶化しても良かったけどたまには真面目に返さないと悪いかなと思い俺は真面目に答えた。

 「それはあれだよ。試合に負けて勝負には勝った的な?」

 「真面目に答えろ」

 「うえ。真面目に答えたのに」


 これ以上の真面目はないくらい真面目に答えたのにこの扱い。まったく普段の行いが悪いからだぞっ!おれ。


 「今の試合は負けておくべきだったんだよ。俺のために。俺は別に最強のヒーローを目指しているわけじゃないからな。ここで勝つ必要はないし」

 「必要はない?なら、お前は何を目指しているんだ」

 「ううーん。なるべく長く生きることかな」

 改めて聞かれると俺は何を目指しているのか考えてなくて本の少し考えたけど。それが一番しっくりきた。
 それに轟は青筋を浮かべる。

 「ならなんで雄英に来たんだ。死にたくないなら普通に生きればいいだろ」

 「普通に生きられないから普通に生きたいからヒーローになるんだよ」

 まるで謎かけみたいだと自分でも思った。
 普通に生きるためには強くなければいけない。

 俺だって普通の家庭に生まれたらヒーローになっていただろうか。
 いや普通の家庭だったらそれは俺じゃないから想像も付かない。
 強くなければならない。でなければ長く生きられないからな。

 俺の個性を欲しがる奴はたくさんいる。何度も命を狙われた。
 初めて命を狙われたのは小学校に上がる前。家の使用人の女性からだった。

 生きたいのなら自分の身は自分で守らなければならない。

 「どういうことだ?」

 轟は怪訝そうに聞いてくるけど、俺はそれ以上話すつもりはないからニカリと轟に笑う。

 なんでここまで話してしまったのか。

 戦いでテンション上がっていたからかな。

 「それ以上は秘密だよ。男はな秘密を着飾って美しくなるんだぜ」

 「気色悪いこと言うな」

 ……そこはそれは女だろっ!とツッコミ入れて欲しかったけど、まあ轟は漫画読まなそうだしな。

 「まあ俺と親友になってくれたらそのうち話すよ。それより轟はこれから試合だろ。緑谷とだっけ?頑張れよ、俺轟を応援してるから」

 そう言い残して俺はその場を後にした。



 俺だって力の限り戦えるのなら戦いたかったさ。






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