おれが来ちゃった!体育祭1

体育祭当日たくさんの観客に見くだ、・・・見下ろされながら冬樹は最初の競技のスタート地点にいた。
最初の競技は『障害物競走』。
まあたぶんいけるいけると冬樹は軽く体を解しながら考える。

冬樹の目標は優勝ではなく、とりあえず中間くらいを狙っていた。
とか言うとまるで冬樹が優勝を狙えるように思われるかもしれないが。それはないと彼自信は分かっている。
取るつもりはないが、おそらくは本気を出しても3位がやっとだろう。
それでも高順位予想なあたり自信が伺えるが。

優勝が狙えない理由は単純に個性に家の制約があるからなど様々だが、特に問題なのは冬樹は今本調子ではないことだった。

何故か本調子ではないかと言えば、冬樹は現在絶賛貧血中だからである。

冬樹には幼なじみであり中学で同級生だったB組の女の子、黒羽血代(くろばねちよ)と言う子がいる。
中学時代まで友達を作っている余裕がなく作り方も知らない冬樹はぼっちだったが、黒羽はそんな浮いていた冬樹に話しかけてくれてマンガを貸してくれた。
それを家に内緒でこっそりと読んで冬樹は外を知り高校生という青春に憧れて雄英を目指したので、ある意味彼女は冬樹の恩人でもある。

なので冬樹はよく黒羽に血を提供する。
黒羽の個性は“ヴァンパイア”であり、生き血を吸うほど強くなるからだ。

入学試験の時も実技試験が始まる前に冬樹は血をあげていた。
そのせいで実技は貧血だったが。それでも冬樹は自分は人より強いので余裕だと思っていた。

しかし、運悪く爆豪と同じブロックだったため、冬樹は敵を爆豪に取られまくって正直やばかった。
まじ爆豪と同じブロックだった奴は運がないと冬樹は思い、実技は駄目かもしれないなぁとさえ思ったが。
けれど、レスキューポイントがあったおかげで爆発に巻き込まれる子(女の子限定)で守っていたら点が思った以上に入ったのでA組になることができたのだ。

と話が少しズレたが、つまり黒羽はヴァンパイアの個性を持っていて血を吸うと能力を発揮できるので。
輸血用の血でもできるが、より強い人の生き血の方がいいらしく自分の血をあげた今冬樹は表には出さないが貧血気味である。




こうして貧血の中、初めの競技のスタートの合図が鳴り響いた。

すると開始早々に轟が飛び出していったので、ちょうクール!と冬樹が後ろでキラキラとそんな轟に目を輝かせると。
すぐに足下が凍った。

轟が開始早々に個性を使ったのだ。

慌てて「ちょうクールぅ!」と口ずさみながら冬樹は隣にいた常闇とともに飛び跳ねて避ける。

「まじ、あぶねっ。俺今の危なかったよ、常闇。めっちゃあぶなかったよ、常闇ィ!」

「気をつけろ、唐沢。まったく初めから妨害をするとは」

「やる気まんまんだね、轟は」


冬樹も氷で滑って転ばないようにそれを追う。
一応靴は滑りにくい作りだが。
冬樹は昔雪で1人ぼっちではしゃいでたら転んで痛かった記憶があるので、また痛い思いするのいやだなあと思ったが速度は落とさない。

常闇の方もうまく前へ出ていく。

そして次の関門・・・、いや先程の障害は用意されていた障害ではないが。
次の障害は入学式にいたロボットだった。
それをまたもや轟が倒して先へ行きにくくしたので、よっこらせと冬樹はロボの上を飛び越えることになった。
みんなA組はスタイリッシュなのに冬樹は非常に地味である。
少しは俺もなんかかっこいいことしたいなあとか冬樹は少しだけ羨ましく思う。

ロボットの次の障害の綱渡りは普通に助走をつけて縄の上を駆け抜けたのでそこで大分前にいた人を抜かした。

綱を渡らずにジャンプで飛んで行くこともできるが、冬樹は次の競技もあるので体力は使わないようにする。
とはいえ、もし家の制約がなければ確実にノリで使っていただろうが。
やりすぎないようにと思っていても同じクラスの人がスタイリッシュだと対抗したくなる。


地雷も冬樹は普通に駆け抜けた。
これは普通に前の人が通った場所を通っただけだったが。
人の位置をきちんと把握する能力は真似するのは難しい能力であるが、やはり地味であった。

こうして単純に進んだおかげで冬樹は予定より結構上位だった。

だがそれよりも冬樹は優勝は轟か爆豪かと思っていたので緑谷が優勝したことに純粋に驚いた。
まさか緑谷が優勝とは思わなんだ。すごいね!と複雑な表情を浮かべる緑谷を楽しく見ていると。
同じく緑谷を悔しげに見る轟を見つけたので冬樹は轟へと歩み寄った。

そうして轟に「ドンマイ!轟!」と声掛けたら親の敵を見る形相で思い切り舌打ちされた。






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