おれが来ちゃった！５
現在の俺は常闇と食堂でお昼の食事中だ。
とはいえ俺はお弁当だけど。
家出しているのになんでお弁当なのかは、これは俺の手作りだからだ。
食費を浮かせる為と趣味で俺は毎日お弁当を作っている。
ちなみに俺の料理の腕前はプロ顔負けだ。
嘘だけど。
普通に上手いくらい。
家出して本当は優秀者への奨学金やバイトで生活費を捻出しようと計画していたけど。それは現唐沢家当主である姉にダメだと言われた。
その代わりに家から多額の生活費を送られている。
家出した身としては生活費をはじめは断ったけど、「いいのよ。その代わり分かっているでしょう？」と姉からテレビ電話で笑顔で言われたのでなるべく使わないようにしながら使わせてもらっている。ちなみに今住んでいる場所は格安の寮です。
でも不思議なのは姉が家出をした俺に仕送りをしてくれている事だ。
姉のいないときに家出をしたとはいえ、それから呼び戻すこともなく何事もないまま学校に通えている。
容認されているのだろうか。
俺は一族のことを戦いの事以外にまだあまり教えてもらってはいないので、判断ができない。詳しく聞かされていないのは何か外に漏れたら困ることがあるので幼い俺には秘密だからだからと予想しているけど。
姉まで出てきて家出を止められたらこまるからいいけどな。俺の姉は俺に個性としては引けを取るものの実際の戦いを見たことないし強いだろうから年の功的にヤバめだろうし。
とかまあ、俺のどうでもいい生活事情を語ってしまったが。
そんな訳だ。
そんな訳で俺は節約生活をしている。
「ああ〜。もうすぐ体育祭かあ。楽しいといいな」
俺は前の席でお行儀よく食べている常闇へとそう声を掛けた。
食堂は体育祭が近いので気持ちいつもよりにぎやかな気がする。
「唐沢はどこかアピールをしたいところはあるのか？」
「別にないかな。楽しみはするつもりだけど、あまりやりすぎると家族がおこだろうからできないし」
一応俺の個性は“肉体強化”と個性申請はしてあるけど本当は違うから。それがバレるような戦い方をしたらまじ本気出されて連れ戻されるだろうし。
面倒くさい家庭だし本当。
ちなみに本当の個性は“気道”だよ。気を操って強くなったり、回復したりさせたりと幅は広い個性だ。
「常闇はアピールしたいとこあんの？」
「それなりにはな」
「ふーん、常闇ならかっこ良くて魅せる個性だから注目されそう」
「だが轟や爆豪ほどではない。他にも飯田や、緑谷も派手な個性だからな。勝ちを狙うのならそこを気をつけなければならないだろう」
「そうだね。もろヒーローっぽい個性だよな。みんな」
常闇はどちらかというとダークヒーローっぽい個性だし。
常闇の個性を考える。
影を使う個性。
なかなかにイレギュラーでかっこういいなあと思った。光に弱いから爆豪や轟あたりと相性は悪いけど、そういう光関係の個性はまれだし。
「唐沢も緑谷と同じ増強の個性だ。それなら本気でやれば目立つこともできるだろう。ヒーローらしい個性だ」
「え？ふへへ、常闇に誉められた！嬉しいからもっと誉めて！」
「・・・その性格がなければな」
「えー。常闇は紳士な俺がいいの？なら俺、常闇のためにがんばるけど」
「いや、いきなり変わられても気色が悪い」
「あらまあ」
別に常闇がもっとクールな感じがいいなら俺がんばるのに。なんか常に本を持ち歩いている人な感じにジーニアスになるのに。
いや、すでに俺はジーニアスだけどね。英語で天才、ラテン語で守護神。
守護神のが格好いいな。
うむ。
ちなみにまだ俺は授業でチョロっとしか個性を見せていないけど、常闇には俺の表の個性と俺が“個性婚”で色濃い個性を持つ唐沢の一族出身だということは言ってある。
今までにそれを言っているのはB組の同中出身件友達の子と常闇だけだ。
先生たちは言わずとも知っているだろうけど。
まあ本当の個性とか公に知られてないことは誰にも言っていないけどね。
「唐沢は性格は難だらけだが確かに個性を引いても強い。敵にいたらやっかいだが、いつも唐沢はいい鍛錬相手になり助かっている」
「やだー、ほめても何も出ないからね。今日ヒマだから放課後さ訓練室使ってチャンバラするぅ？」
普段なら自分を高めることがクールに大好きみたいな常闇に鍛錬誘われても、筋肉痛がーって適当な言い訳で断ること多いけど。
そんなに褒められると嬉しくなっちゃうじゃない。俺の扱いを心得ているね。
それに常闇だしさ！初めての男マブダチ！
たとえ、それ目当ての誉め言葉だとしてもいいともさ！
「ふぇっへっへっへ。体育祭に向けてがんばろうぜ、常闇！あの星を目指して」
「まだ昼時以前に室内だから星は見えない。だが唐沢との鍛錬は学ぶことが多いからありがたい」
「俺も常闇との鍛錬は楽しいから大好きだよ。隙があったら容赦ないとことか！」
でもできればパンケーキ食べに行きたかったけど。
ご機嫌そうに笑う常闇を見て、まあいいかなって思う。