商人の憂鬱

おれはかの有名なドンキホーテ・ドフラミンゴと同世代の商人気質の強い海賊団船長である。
とはいえおれの海賊団はそれほど懸賞金は高くないし、凶悪だったりしない。むしろ戦闘の実力があるのはおれだけかもしれない。

まあおれもある程度の護身ができて商才がある者を重視して雇い入れているのでしかたがない。
たとえ戦闘が始まるとおれをのこして船内に引きこもるやつらだろうとも、悲しくなんてない。

そのおかげもあるのだろう、実力もあり商売も上手い(自画自賛だよ)のおれはドフラミンゴとお互いの発足当時から仲は悪いが繋がりがある。
なぜ仲が悪いのかというとおれはいい商品を取り扱うが口が悪いからだ。

たとえば最近でいうと、自分の服装をけなされて『もっと良いものを用意してやろうか』とにやにや言われてムカついたのでおれも『はっ?次は鏡でも用意してやろうか?てめえも相変わらず趣味の悪ィヒラヒラ着てやがるくせによく言えたもんだな。ああ、けどうさんくさいおまえにはお似合いか、バ・・・若様?』と言ったら戦闘のゴングが鳴った。
お互いなぐりあい蹴りあいで服がボロボロになるまで戦ったのは記憶に新しい。

そんなおれたちはよく今まで続いているとおもうけど。そこはきっとおれの商品が魅力的だからだろう。
おれも金払いのいいドフラミンゴはとても魅力的だし。

けれどこんなにも日常茶飯事の喧嘩をしているとおれはふと気がついた。

これ俺が商売しにいかない方がいいんじゃないか、と。
ドフラミンゴも商品があれば満足だろうし。


とても今更なことだけど思い立ったら吉日というやつでおれはおれのクルーの中でも優秀なやつをおれのかわりにドフラミンゴとの商談へと行かせた。

そいつはおれに言われたときまるで捨てられたチワワのようにふるえていたが、優秀なやつだけありきちんとおれの命令を守りドレスローザの城へと向かっていった。
まあ、逆らったら船を降りてもらうつもりだったしな。見せしめに殺さないだけおれは優しい船長だ。うん。


それからクルーが帰って来るまでおれは仕事用の資料を自室のベッドでゴロゴロしながら読んでいた。

しばらくゴロゴロと真面目に仕事をしているとなにやら部屋の外が何やら騒がしいのに気がついた。
敵襲かと思いめんどうくさく思いながら腰を上げると、同時におれの部屋の扉がバンッと壊れるんじゃないかというほど大きな音を立てて開いた。
おれは反射的にベッドを盾にして裏へと隠れるとベッドは無惨にも真っ二つになった。
ここまで侵入者を通すなんて本当にうちのクルーはだめだめだな。
おそらく立ち向かいもせずに逃げたのだろうが。容易に想像できたわこんにゃろう。

「てめえ、これ高かったんだぞ・・・・ドフラミンゴ!!!」

来訪者であり外の騒動の原因であったドフラミンゴは眉間に皺の寄るおれをみて「フッフッフッフ」と不機嫌に笑っている。
笑っているのに不機嫌でいるなんてなんとも器用な男だこのやろう。死ね!!

心に思った通りにおれが「死ね!!」っと言うとドフラミンゴはおれに彼の能力であるイトを放ってきたのでおれは部屋の隅に掛けてあった剣でそれを凪払ってやる。



「ドフラミンゴてめえなにしに来やがった!!ってかここはおれの船だぞこのやろう!!なに入ってきてんだ」

「フッフッフ!てめぇが人なんか寄越すのが悪ィ」

「はあ?こっちは気をつかってやったんだぞ!?ありがたく思えや」

「うるせぇ。死ね」


と会話にならない会話をしていつもより激しい戦闘が始まった。





「・・・はあ。なにがしたいんだよこのやろう」


それからしばらく戦って今現在はだれもいない船の屋根で俺たちは大の字で転がっている。
お互い切り傷がひどいことになっているが戦闘で興奮状態のためまだ痛みは鈍い。


「結局何しに来たんだドフラミンゴ。商品に不満でもあったのか。それとも向かわせたクルーが何かしたのか」

それなら商人としては申し訳のないことだが、ドフラミンゴは仰向けに転がったまま何がおもしろいのか笑っている。


「おれの商談にはおまえが来い。アキ」

「はぁ?おれが行ってもてめぇは不愉快になるだけだろ。なら商品は変わらないからいいじゃねぇか」


意味が分からずに言うとドフラミンゴは少し間をおいてから口を開いた。


「・・・おれが買っているのは商品じゃねェよ。てめェだ、アキ」

「はあ?・・・おれ?」


どういうことだ?
ドフラミンゴが求めているのは、商品じゃなくておれとは?
おれが行くことをドフラミンゴが望んでいるのは商品でなくおれを買っているからだと?

つまり・・・


「ああん?なんだとてめえ!!今までおれに喧嘩を売ってきたのは実戦の相手をさせるためだったのか!?なら別料金払えよ、このやろう!!」

こいつが金払いがいいのはそういう訳だったのか。おれで腕が鈍らないための腕試しをしていたのかよこのやろう。

思わず、寝っころがりながらドフラミンゴを睨むとちょうどこちらを向いたドフラミンゴとサングラスごしに目が合った。


「本当にぶっっころしてやりてェな。なァ、アキ」

「上等だコラ」

おれは中指を立ててそう返事をした。



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喧嘩というじゃれ愛をしたい若様。
そして勇気をもっておまえが欲しいアピールしたけど通じない。







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