そうだ合コンに行こう

※ただわちゃわちゃしてるだけ
 夢主の異性関係有り&下品注意


「二人に相談してェことがあるんだが」

「なんだ?コラさん」

「なんスか、コラソン兄」

高校の帰り道コラソン、ロー、アキが3人で歩いていると。
神妙そうに後輩であるローとアキへと声をかけたコラソンはしかし、すぐにやっぱりいいと言葉を止めた。

そんなコラソンにローとアキは顔を見合わせる。
コラソンとは年は違うが幼いころから付き合いのある仲である。
なので、こういう場合何事かの悩みを抱えていることは経験上察することができた。

どうしたのだろう。

気になったのでそこまで言われたら続きが気になると半ば無理矢理二人がコラソンへ続きを促すとコラソンはなんとか重い口を開いた。

「実は・・・明日合コンに参加することになったんだが、・・・どうすればいい」

「え?どうすればいいってコラソン兄、合コンはじめてなんスか?」

「高3にもなってか」

「うるせェ!!」

だから相談したくなかったんだよ!と初々しくも頭を抱えるコラソン。

そんなコラソンにローとアキはこっそりとにやりと笑い視線を交わし、なら練習しましょうよと合コンの練習をすることになった。




場所は相談の末、親が共働きでこの時間は誰もいないローの家となった。

物の少ないローの部屋で、よほど気合いの入っているらしいアキが意気揚々と声をあげる。

「じゃあおれたちが女の役やるのでコラソン兄がおれたちを口説いてください。おかしなところがあったら指摘します」

「お、おう」

「じゃあまずは自己紹介からだな」

「うん。どっちからでもいいけど男からの方が一般的だからコラソン兄からはじめてください」

「分かった。じゃあ、いくぞ。OP高校三年の、ドンキホーテ・ロシナンテだ。きょ、今日は、よろしくな」

「「・・・・・」」

コラソンの自己紹介はまるで錆び付いたロボットのようなであった。
気心知れた相手でこれとは。

すごくDTくさいなと二人は思ったが言葉には出さなかった。

「まあ、硬ェけどいいか」

「うん、コラソン兄っぽくて良いと思うよ。ずげぇ硬いけど」

「う、うるせぇ!」

「大丈夫だコラさん。そういうのが好きな女もいる」

硬い硬い言う後輩にコラソンは顔を真っ赤にして唸るが、二人としては上手くできないと容易に予想がついていたので気にした様子はない。
逆に上手くできた方がなんか腹が立・・・教えがいもない。

「よしっ、では次は女役のおれたちが自己紹介しますね!」

「お、おう。頼む」

「はい!じゃあ、おれ・・・あたいたちの番ね自己紹介しまぁ〜す!こんにちはあたいの名前はアキ子でーす!!今日は男の子をお持ち帰りするつもりできましたっ、きゃっ言っちゃった!」

「ロー子だ。飯を食いにきた」

アキは顔の横に横ピースを作り裏声で、ローは真顔のまま地声で答えた。
確実に真面目にやる気はなさそうである。

そんな二人にコラソンは肩を震わせた。もちろん怒りで。

「・・・いや!んなアキみてェに肉食全開な奴も、ローみてェに食欲全開な奴も、そんな女いねェだろ!?」

「やだー、アキ子ツッコまれちゃった。あっ下ネタじゃない方のツッコむね!」

「おい、メシはまだか」

「頼むからもう少し普通にやってくれ!」


怒ってみてもまったく変化のない二人にコラソンはもう頭を抱えた。
こんなのがくる合コンなんていやだ。
というかこんな女いないだろう。いないよな。

と思う同時に改めて後輩相手に自分は何をやっているのだと改めてコラソンは思った。

「普通って言ってもなあ。ってかコラソン兄は女の子とどこまで行きたいんスか?」

「ど、どこまでって」

「野外かホテルか、どっちがいい?コラさん」

何という二択だ。

「そういう意味のどこかよ!!?もうほとんど二者択一じゃねェか」

「野外でいいんじゃないスか?」

「いや、今の時期は夜冷えるだろ」

「でも結構いけたよ、ロー」

「まじかよ。こんな時期にやるなんて馬鹿だろ」

「ちょっと待て。特にアキ」

後輩の知りたくない話に会話が進みそうになったのでコラソンは思わず止めた。

ナギナギの能力が使えたら間髪入れずに“凪”を使っていただろう。

そんなコラソンをアキとローはクエスチョンマークを浮かべて首を傾げ見てくるがそんな可愛らしい仕草をしてもだまされ・・・ないんだからな!!とコラソンは思った。

「あっ、なら良いこと思いついたっス」

「・・・いやな予感しかしねェが何だ、アキ」

「コラソン兄の代わりにおれが参加すればいいんじゃないっスか?」

「なにがいいのかおれには分からねえよ!?それっておれが参加する事自体やめろってことか!!?」

「はい!」

「間髪入れない良い返事!!?」

あんまりなアキの返事にコラソンはびっくりしてまたもや何かの冗談かと思ったが。
アキは神妙そうに目を伏せた。

「だって、もしコラソン兄に彼女ができたらおれたちと遊んでくれなくなるんでしょう?彼女ばかりでおれたちなんてコラソン兄はどうでもよくなるんでしょ?それならおれはコラソン兄に合コンになんて参加してほしくないっス」

「コラさん、おれもアキと同じ気持ちだ。コラさんに彼女ができるのは、すごく・・・寂しい。だから彼女なんかつくらないでくれ。まだおれたちはコラさんと一緒にいたい」

真剣な様子で頼んでくるアキとローにコラソンは心臓がぎゅっとなった。


だからこいつらはこんなにふざけてやっていたのか。
そんなことも察せられなかった自分にコラソンは申し訳なく思った。

図体こそ大きくなったが、二人はまだコラソンにとってみれば可愛い後輩である。

「アキ、ロー・・・おまえたちそんなにおれのことを」

「コラソン兄」

「コラさん」

アキとローは目を潤ませてコラソンを見上げた。
まるで捨てられた子犬のようなそれにコラソンは「うっっ」と唸る。
もう、コラソンには選択肢など無かった。

「し、しかたねェな。合コンには参加しねェって伝える。行かねェ」

「えっ本当に!?本当?ありがとうございます!コラソン兄大好きっス!」

「コラさん、ありがとう!」

アキとローはコラソンの言葉を聞き花を散らすように笑うと、コラソンへと抱きついた。
そんな甘えたな二人をコラソンは腕の中に抱き止め「まったくおまえらはいつまでたっても子供だな」と大きな手で頭をなでた。
感動的な光景である。


しかし、そんな子供たちがこっそりと視線を交わし再びニヤリと笑っていたことに幸か不幸か彼が気がつくことはなかった。







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